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搾取タイのエビ漁船に囚人の労働力?
エビが「高級品」から「食べ放題」の食材に変わったのは奴隷労働のおかげ
アジア最悪 生臭い船で長時間こき使われるなら刑務所のほうがまし Damir Sagolj-Reuters
タイの底引き網漁船で働くのは、アジアで最悪の仕事の1つだ。生臭い船の上で1日20時間労働、船長に奴隷のようにこき使われる。当然、そんな仕事をしたいという者は少なく、タイの水産業は強制労働に依存。出稼ぎ労働者をだまして船に乗せ、無給労働を強いている。
そんななか、タイの軍事政権がこの労働者不足に奇抜な解決策をひねり出した。囚人だ。
先週に突然廃案となった計画は、刑期満了になるまで囚人を漁船で働かせるというもの。過密状態の刑務所には空きができるし、水産業の人手不足も補える──まさに「一石二鳥」というのが政府の売り文句だった。
しかし人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチをはじめ労働や貿易関連の40を超える組織が声明を発表。「驚くほどひどい提案だ」と批判した。
「漁船では肉体的な虐待、船長による殺人まで行われている」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチ・アジアのフィル・ロバートソン局長代理は言う。
タイ産シーフードのサプライチェーンに囚人を組み込めば、その影響はアメリカのスーパーマーケットにも及ぶ可能性が高い。アメリカのシーフード輸入量で、タイは2位の座を占める。
アメリカでエビが「高級品」から「食べ放題の食材」に変わった一因は、タイの安価な労働力(と強制労働)にある。
問題の計画を考案した労働省は「国民に仕事を与えようとしただけ」で、「人権を侵害する」つもりはなかったと主張した。
タイ漁船の奴隷労働から逃げ出してきた複数の人物は、残虐行為が日常茶飯事だったと語る。カンボジア人の元乗組員は、仲間が鉄の棒で殴られたと言う。「腕が折れ、一面に血が広がった。それでも彼は魚の選別作業に戻った。働き続けなければたたかれ続けていたからだ」
漁船に囚人を送るというこのアイデア。もし「復活」することがあれば、囚人たちは漁船より刑務所を選ぶと訴えるべきだ。
From GlobalPost.com特約
[2015年2月 3日号掲載]