米軍の基準から推定すると、中国軍の作戦行動に使用できるモデルは現在6〜10機種あるとみられる。
中国航空技術輸出入総公司は無人機ASNシリーズを開発。そのうち少なくとも2モデルが導入される見込みだ。1つはASN15で、「情報収集・監視・偵察・目標捕捉」(ISTAR)機能を持つ小型機。アメリカのRQ11レイブン(戦場で基本的なISTAR任務をこなせるラジコン機くらいの無人機)と似たようなタイプだ。
もう1つはASN209。中レベルの高度を飛び、航続時間も中程度で、アメリカのスキャンイーグル(航続時間20時間)に近いものだ。11年に南シナ海での海軍演習で使われたと広く報道されている「銀鷹」と同タイプだろう。
海上でのISTAR任務や、火災発生時に役立つ無人の垂直離陸機も導入される可能性がある。中国海軍が対潜水艦戦闘での使用を視野に入れ、無人垂直離陸機の導入を検討していることは分かっている。建造中の航空母艦に無人機を搭載して、幅広い用途に使う計画もある。
中国の航空産業はより大型で、高性能の無人機も発表している。うち「翼龍」とCH4は、パキスタンなどで使用されたことで知られるアメリカのMQ1プレデターとMQ9リーパーに似たタイプのようだ。
中国メディアの報道によると、翼龍はリーパーのような攻撃機で、CH4は民生用にもなる多目的機だが、偵察機として軍用にも使えるという。
さらに米軍のRQ4グローバルホーク(高高度を飛び、航続時間も長い)と似た「翔龍」も公開された。インターネット上に出回ったその写真は、中国の無人機開発の驚くべき進歩を見せつける。
懸念すべきは「拡散」だ
ステルス型の無人機「風刃」とステルス型無人攻撃機「暗剣」の開発も進んでいるようだ。イギリス軍が採用している小型無人ヘリ、ブラック・ホーネットに類似した、新世代の超小型無人機の開発も射程に入っているだろう。
中国の航空産業は輸出にも大きな期待をかけている。特にプレデターに似たCH4は大きな需要が見込め、アブダビの兵器ショーでも展示されていた。翼龍も「既に国際市場に参入し、成功を収めている」と、最近中国で開催された航空ショーで関係者が語った。
中国は需要と供給のギャップに目を付けたのだ。無人機を開発・製造できる国は限られているし、中国製の無人機は低コストが強み。アメリカ製のプレデターは1機450万ドル前後、リーパーは1500万ドル以上するが、中国製の同様の機種なら100万ドル足らずだ。その程度のカネならすぐ出せて、アメリカとイスラエルの技術に頼れない、あるいは頼りたくない国は少なくない。
結局のところ、中国の無人機開発を警戒するとしたら、アジア太平洋地域でアメリカと日本の脅威になるからではなさそうだ。それよりももっと深刻な問題がある。価格が安く、武器輸出のハードルが低い中国が生産国になれば、世界中に無人攻撃機が拡散しかねない。
From the-diplomat.com
[2013年4月 9日号掲載]