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米軍事アメリカの空を無人機が脅かす
対テロ戦争で多用される無人航空機がニューヨーク上空で民間機とニアミス
大惨事 ニューヨークのJFK空港周辺で無人機が目撃された Shannon Stapleton-Reuters
オバマ政権がテロとの戦いの切り札として多用している無人航空機。アフガニスタンやパキスタンで民間人への誤爆が相次ぐなか、その是非や使用条件をめぐって大論争が巻き起こっている。
ただし、無人機が頭上を飛んでいるのは遠い国の「戦地」だけではない。ニューヨーク上空で3月4日、乗客を乗せた民間機と無人機のニアミスが報告され、FBI(米連邦捜査局)も調査を始めている。
ニアミスが起きたのは、アリタリア航空の民間機がニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港に着陸しようとしたときのこと。操縦していたパイロットは「滑走路へのファイナルアプローチを行う際に、無人あるいは遠隔操作された小さな機体を見た」という。
連邦航空局(FAA)の規定では、小型無人機を特別な許可なく飛ばしていいのは、地上400フィート(約120メートル)より下を飛行し、混雑エリアや大型機から十分に離れていて、商用目的でない場合に限られる。とはいえ、この規定が厳格に守られているかどうかはわからない。
FBIによれば、問題の無人機は黒くて4つのプロペラがついていた。幅1メートルにも満たない小さな機体で、アリタリア航空機からわずか200フィート(約60メートル)足らずにまで接近したという。
2年後には商用と民間利用も解禁に
無人機と聞くと、米空軍が保有する無人偵察機のプレデターやリーパーのような大型機を思い浮かべるかもしれない。だが今回目撃された無人機はむしろ、子供が遊ぶラジコン飛行機に近いように思える(コロラド州デンバーでも昨年、「謎の物体」が上空8000フィート(約2400メートル)でセスナ社のビジネスジェット機と衝突しかけた。
偶然にも、ニューヨーク州シラキュースの空軍基地では軍事用無人機リーパーの飛行訓練が行われている。ただしリーパーがJFK空港付近を飛行したり、民間機に近づくことは認められていない。
2011年にアフガニスタンで起きた米軍無人機と貨物機の衝突を考えれば、無人機がアメリカ上空を自由に飛行するのを認めるのはまだ早すぎるだろう。プレデターとリーパーの飛行は今のところ、アメリカ国内ではアリゾナ州やテキサス州の国境付近など、有人機が飛ばないエリアに限定されている。
もっとも、アメリカでは警察や消防による非軍事目的での無人機使用はすでに始まっている。さらに2015年9月には、商業目的での利用や民間利用も解禁される。
だが、無人機の技術が安価になって一般市民にも手が届くようになれば、安全面のリスクは高まる。議会調査局も報告書の中で、さまざまな「無人機犯罪」が発生する可能性を指摘している。「アメリカの空を無人機が飛び交う日が来たら、裁判所はこの新たな技術に合わせて法律を調整しなければならない」
© 2013, Slate