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エネルギー福島に学べない中国原発の危うさ
一時は慎重姿勢だった中国が、再び原子力エネルギー増産を宣言し原発建設に動き始めたが
海のリスク 沿海部の原発建設は安全なのか?(浙江省の秦山原子力発電所) Reinhard Krause-Reuters
中国は今後数年にわたって原子力エネルギーを増産する──中国原子力産業協会の理事長は先週、広州で開かれたセミナーでこう宣言した。張によると、中国は15年までに原発による発電量を42ギガワットに拡大する。これは全世界の原発発電量の約10%に当たる数値だ。
中国では現在、6カ所の原発で15基の原子炉が稼働しており、その発電量は12・5ギガワット。国内の総発電量の1・8%を占め、世界の原発発電量の約3・5%に当たる。張は15年か「その数年後」までには41基の原発が稼働し、さらに20基が建設中になっている予定だと言う。
もっとも10月に中国政府が出した白書では、15年までの目標値は40ギガワット。中国の第12次5カ年計画(11年〜15年)における15年までの目標値50ギガワットを下回っている。
その主な原因は、昨年の福島第一原発の事故だ。中国政府は事故から1年余り、原発建設を一時停止するなど核エネルギー政策に慎重だった。だが今年6月に停止期間が終わると、従来どおり原発推進の道を選んだ。ただし中断期間があったためか、50ギガワットという目標値は見直さざるを得なかったようだ。
東南アジアと共通のジレンマ
原子力エネルギーの増産ペースを落とした中国は、福島の悲劇から十分な教訓を得ていると強調する。「中国の原発の性能は優れており、立地場所も慎重に選んでいるため、福島と同じ轍を踏むことはない」と張は語った。
しかし、張の強気な発言には疑問が残る。中国国務院は10月、今後数年は沿海部にのみ原発建設を認めると発表した。確かに繁栄する沿海部は内陸よりも電力を必要としているが、福島が示すように海の近くの原発は津波や台風の被害を受けやすい。
この問題は経済成長のさなかにある他のアジア諸国にも重くのしかかってくる。高まる電力需要を満たすため、輸入に依存せず環境に優しい電力源として核エネルギーに目を向けるだろう。しかし一方で、事故のリスクも考慮しながらエネルギー政策の舵取りをしていかなくてはならない。
東南アジア諸国は中国と比べ、原発の安全対策に費やす資金だけでなく人材や技術も不足している。原発の耐久性や事故対策のノウハウを提供する──中国はこうした分野でなら周辺諸国にとって「頼れる隣国」になれるのではないか。
From the-diplomat.com
[2012年12月12日号掲載]