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フランス売春宿の合法化に売春婦が反対するワケ
性労働 街角で客を待つ売春婦(02年、ニース)。現在は違法行為とされている Eric Gaillard-Reuters
フランスでは1946年から売春宿が禁止されているが、これを合法化すべきだと、女性国会議員シャンタル・ブリュネルが提案している。売春婦の安全と生活を守るのが狙いだ。
03年にサルコジ内相(現大統領)が成立させた法律により、売春婦が街角に立って客待ちする行為は違法となった(売春自体は18歳以上なら合法)。そのため、売春はマッサージ店やバーで隠れて行われるようになった。場所も都市の中心部ではなく郊外や森の中、インターネットに移り、性労働者は孤立した状態に置かれるようになった。サルコジの法律は「この仕事の危険性を増した」と、社会学者ジャニーヌ・モスラボーは言う。
ブリュネルは売春婦を人身売買や暴力から守り、尊厳と医療ケアを与えたいと考えている。4月の世論調査では国民の約59%が売春宿の合法化を支持した。
だが当の性労働者組合は、組合員の独立性を守るために政府の介入に強硬に反対。売春宿の経営者による搾取の恐れがあるほか、HIVなど性感染症の強制的な検査の結果、感染者が職を失いかねないとも主張する。一方、そもそも売春の斡旋が違法である以上、売春宿の経営に介入すれば政府が罪に問われるとの意見もある。
(GlobalPost.com特約)
[2010年6月 2日号掲載]