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フィリピン英雄ボクサー立候補の困惑

2010年3月18日(木)11時53分
サンシャイン・デ・レオン

国民的ヒーロー 世界王者の次は政治家を目指すパッキャオ Mike Stone-Reuters

 5月に実施されるフィリピンの議会選挙に国民的英雄のプロボクサー、マニー・パッキャオが立候補することを決めた。しかし熱烈なファンは、彼の決断を支持するかどうかで割れている。

 アジア人として初めて5階級を制覇し、体重別階級を超えた世界王者として知られるパッキャオはフィリピン国民の誇りだ。ファン層は経済や社会、宗教の壁を越えて広がる。

 彼ほど国民の心を1つにまとめられる人物はいないだろう。貧困家庭から世界チャンピオンに上り詰めたサクセスストーリーは、国民の4割が1日2ドル以下で暮らすフィリピンでは特に輝きを放つ。

 まだまだボクサーとして活躍できると考える人も多いが、パッキャオ自身は自分の出身階層である貧困層の生活を改善したいという思いに突き動かされているようだ。「口先だけで約束を果たさない政治家をたくさん見てきたが、自分の思いは本物だ。貧しい人たちを助けたい」と最近のインタビューで語っている。

 しかし多くの有権者は、良心的な政治家でもフィリピンの腐敗した政界に入れば堕落してしまうと考えている。清潔なイメージのパッキャオが政界入りによって輝きを失うことをファンは恐れている。

*グローバル・ポスト特約
GlobalPost.com

[2010年3月24日号掲載]

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