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イスラエルサイバー戦争ではイランに負ける?
異次元の戦い 軍事力ではイランを圧倒するイスラエルだが Yael Bar Hillal-IDF/Getty Images
イランが核兵器を手にすれば、イスラエルが先制攻撃に踏み切る可能性は十分にある。国民1人当たりの国防費が世界トップクラスのイスラエルは、その攻撃対象にふさわしい兵器を所有しているはずだ。兵器の性能においてはイランをはるかにしのぐだろう。
ところが、サイバー空間となると話は変わってくる。この数年、イランとその同盟国によるサイバー攻撃がイスラエルのネットワークシステムを大きく脅かしている。
今冬イスラエルがパレスチナ自治区ガザに進攻したときには、かなり高度なサイバー攻撃を受けた。政府関連のサイトに、ピーク時には50万台のコンピューターから毎秒1500万通というメールが送り付けられたのだ。ロケット攻撃から身を守る方法を教える民間防衛軍のサイトがダウンしたのをはじめ、多くの政府系サイトが一時的にアクセス不能になった。
行政機関と国民のコミュニケーションを妨げるこうしたサイバーテロは、緊急時には深刻な問題になり得る。ネットワークセキュリティーを専門とするアメリカのシンクタンク、テクノリティクス研究所は、中国やロシアと並んでサイバーテロの脅威となる5つの国の1つにイランを挙げている。
世界有数のハイテク企業を有するイスラエルが無力だというわけではない。しかしサイバー空間を見る限り、武器を使う戦いよりも両者には力の差がないようだ。
[2009年7月29日号掲載]