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ヘルスマンモグラフィーで、病変が見分けにくい「高濃度乳房」と判定されたら──米国で通知ルール化
THE DENSE BREAST RULE
乳腺などは画像に白く映るため、多すぎると白い病変が見えにくい(写真はイメージ) GORODENKOFF/SHUTTERSTOCK
<乳癌は早期発見でほぼ確実に完治するが、病変が見逃されやすいタイプの乳房がある>
米食品医薬品局(FDA)は2023年3月、マンモグラフィー(乳房X線撮影)検査の結果通知について新たなルールを策定した。それにより2024年9月10日以降、全米のマンモグラフィー実施機関は受診者に乳房の濃度に関する情報を提供するよう義務付けられる。高濃度の場合はマンモグラフィーで癌が見逃されるリスクがあることも知らせなければならない。
乳房は乳腺と乳管、それを包む脂肪から成る。乳腺は線維状組織と靭帯に支えられていて、乳腺とその支持組織を合わせて「線維腺組織」と呼ぶ。線維腺組織が密にある状態を「高濃度乳房」と呼ぶ。
マンモグラフィー検査の画像を基に、受診者の乳房の濃度は次の4段階に分類される。①脂肪性、②散在性、③不均一高濃度、④極めて高濃度。③と④が高濃度乳房だ。
高濃度乳房は異常ではなく、閉経前には50%以上の人が高濃度乳房だ。閉経後は徐々に濃度が低下するが、④の人は一生濃度が高い傾向にある。
乳房の濃度はなぜ重要なのか。理由は2つある。第1は高濃度乳房であればX線画像で病変を検出しにくいこと。約40%の確率で石灰化した病変が見逃されてしまう。
第2に、高濃度乳房では乳癌の発症率が高くなる。④の極めて高濃度の人は、①の脂肪性の約4倍、②の散在性の約2倍発症率が高い。
FDAの新ルールで今秋から、全米の検査機関が受診者全員に高濃度乳房かどうかを書面で知らせることになる。さらに高濃度乳房の受診者に宛てた書面には「マンモグラフィーに加えて他の画像診断が癌の発見に役立つ場合があります」と明記される。
MRIとの併用を推奨
では、高濃度乳房と判定されたらどうすればいいか。普及が進む3Dマンモグラフィー(トモシンセシス)は従来のマンモグラフィーより多少検出率が高い。高濃度乳房の人は定期のマンモグラフィー検査を受ける際、3Dを実施している機関を選ぶといい。
年に1度または2年に1度の定期のマンモグラフィー検査に加えて、補助的な検診を受けるべきかどうかは乳房の濃度と他のリスク因子、潜在的な利益と不利益を考慮して判断することになる。全ての女性が30歳までに医師と話し合って自分のリスク因子を見極め、必要な場合は遺伝子検査を受けることが望ましい。
次のような人には、70〜75歳まで定期のマンモグラフィー検査とMRI検査を併用するよう勧めたい。
・遺伝性乳癌に関連した遺伝子変異があるか、母親、姉妹、娘に変異があれば、25〜30歳までに年1回MRI検査を受け始め、30歳になったらマンモグラフィーも併用すること。
・以前に別の癌で胸部に放射線を照射する治療を受けた人は25歳以上であれば治療の8年後からMRI検査を受け始め、30歳までにマンモグラフィーと併用し始めてほしい。
・乳癌リスク評価ツールで生涯に乳癌にかかる確率が20%以上と判定された人、50歳までに乳癌にかかった人および高濃度乳房の人。
なおMRI検査を受けられない場合は、マンモグラフィーと超音波検査を併用してもいいが、超音波はMRIに比べ検出率が劣る。造影剤投与によるマンモグラフィーの検出率については現在評価中だ。
Wendie A. Berg, Professor of Radiology, School of Medicine, University of Pittsburgh
This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.
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