日本人の自己肯定感は本当に低いのか?
自己肯定感は年齢が上がるにつれて下がる(写真はイメージ) metamorworks-iStock
<おんぶ、抱っこ、添い寝に代表されるように親子の密接な身体的接触が強調される子育て文化では「甘えん坊」がちにはなりまものの、自己肯定感が低くなることはないはずなのに......>
私は日米で学習塾を経営し、アメリカやアジア諸国の子どもたちが成長する姿を見てきました。私の経験からはっきり言えるのは、「日本人の子どもの自己肯定感は低くない」ということです。少子化が進んでいる今、数少ない子どもは貴重な存在であり、親はもちろん、祖父母や親戚から大切に扱われ、愛情をたっぷり受けて育っています。
自己肯定感の根っこは「自分は親から受け入れられている」という受容感情です。おんぶ、抱っこ、添い寝に代表されるように親子の密接な身体的接触が強調される子育て文化によって育てられた日本の子どもは、甘えん坊がちにはなりますが、自己肯定感が低くなることはないのです。
なぜ日本の若者の自己肯定感が低いのか?
アメリカ人の子どもと比較して、母親から離れられない(母子分離ができない)子どもが日本人には多いのですが、これは決して自己肯定感が低いからではありません。親子の精神的なつながりが強いからであり、自然なことなのです。それだけ母子相互作用が強く働く子育て文化が日本にはあるのです。
ではなぜ日本人の自己肯定感が低いというデータがあちこちで紹介されているのでしょうか?
東京都教職員研修センターが小学1年生から高校3年生を対象に行なった自己肯定感についての調査データ(2008年)を見ると、小学1年から中学にかけて、ずっと自己肯定感が下がっていくことが分かります。