のんびりイメージ一変!? オバマも孫文も通った楽園ハワイの「名門お受験」事情
オバマ前大統領が通ったプナホウスクール mizoula-iStock
<ハワイの「お受験」対象校は2つ。どちらも、150年以上の歴史と伝統を持ち、幼稚園から高校まで「13年間の一貫教育」を行うプレップスクールだ。アジア人(日本人、中国人、韓国人など)の入学希望者も増えている>
私立幼稚園や名門小学校の入学を目指して、幼い子どもたちが英才教育塾やおけいこ事通いをする「お受験」は日本の都市圏特有のものだと思っている方が多いと思います。しかし、教育面ではのんびりしたイメージが強い常夏の楽園ハワイにも「お受験」があるのです。
ハワイの「お受験」対象校は、プナホウスクールとイオラ二スクールです。(カメハメハスクールもお受験対象ですが、ハワイアンの血筋がないとほぼ入学できないので割愛します)両校とも150年以上の歴史と伝統、広大なキャンパス、優秀な講師陣、高い進学率、各界で活躍する卒業生、そして潤沢な資産を有する幼稚園から高校まで「13年間の一貫教育」を行うプレップスクールです。
アメリカのプレップスクールとは?
プレップスクールとは、プレップ(Prepareの略語)という名の通り、大学での学究生活を充実させるための準備教育を提供する私立学校です。アメリには大学までエスカレーター式で進学できる学校は存在しませんから、大学進学を目指すすべての学生は大学受験を経て合格を勝ち取らなければなりません。
アメリカの大学受験は、原則、AO入試です。高校時代を通しての学業成績、標準テストのスコア、スポーツや音楽など課外活動の実績、ボランティアや社会貢献活動の経験、先生の推薦状、そしてエッセイによる総合評価で合否を決定します。
ハーバード大学、スタンフォード大学、MITなどアメリカの最難関大学を目指す場合、学業成績が卓越していることに加えて、アプリケーション(出願書類)の充実度を高めることが重要です。そのため課外活動の選択肢が豊富で、専門の受験カウンセラーによる進路指導が受けられるプレップスクールに通うことが、トップ大学合格への架け橋と考えられているのです。
しかし、大学受験以前に、まずプレップスクール合格を勝ち取らなければなりません。ハワイのプレップスクールは「幼稚園」からスタートしますから、ハワイの教育熱心な家庭、裕福層家庭、高学歴家庭において「お受験」が加熱するわけです。
公式な数字ではありませんが、プナホウ・イオラニの合格ラインは、個人面接時の適正テスト(言語、数字、記憶、運動、社会性、IQテストなど)で90パーセンタイル以上必要(同年代の子どもの上位10%以内)と言われています。
さらに付け加えると、プレップスクールには、在校生の兄弟姉妹、卒業生の子ども、学校関係者(先生やスタッフ)の子どもを優先的に入学させる「レガシー制度」があります。そのためコネクションが全くない生徒の合格率は表面的な数字よりもはるかに低くなります。
不公平に思えるレガシー制度ですが、伝統を重んじるプレップスクールがコネクションを合否決定に考慮するのは当然です。学校の理念や教育方針を理解している家庭の子どもを優先的に入学させることで学校コミュニティーの結束を強め、学校の伝統を継承していく担い手となってもらいたいのです。
もちろん縁故があるからといって必ず合格できるわけではなく、学校への貢献を継続していなければ学校を支えてくれる家庭とは見なされません。また家庭での教育努力を怠り、受験時の適正テストで子どもの成績が悪ければ、不合格になることもあります。