夫婦で在宅勤務なのに「家事や育児は女性の仕事」 他国の例を踏まえた最適解は?
この不平等感はなんなのか……(写真はイメージ) takasuu-iStock
<育休制度が充実していても、実際に取得する男性は少ない。そしてコロナ禍で若干マシになったとは言えど、日本の男性の家事分担率は世界最低レベル。リモートワークで家にいれば家事に手が届くのに...他国の例を見てみましょう>
日本で共働き家庭の割合が年々上昇しています。独立行政法人労働政策研究・研修機構が集計した2018年のデータによると、日本の共働き世帯は全体の68.4%で、アメリカの52%よりもはるかに高い数字になっています。
またコロナ禍によって、家事・育児に参加する父親が増えています。リンナイ株式会社が2020年に行った調査では、「コロナ禍で家事・育児を分担するようになった」と回答した家庭は全体の6割になり、家事・育児の分担率が上がっていることがわかります。
コロナ禍でも母親の負担が減らない日本
株式会社明治が2021年に行った調査では「育児に積極的に関わりたい」と回答した父親の割合が64.1%と、参加意欲は高まっているものの、「育休を取得しづらい雰囲気がある」という声が多く、育児に関わりたくても簡単には実現できない「職場事情」が見え隠れします。
実は日本の育児休暇制度そのものは、世界トップレベルの充実度を誇っています。ユニセフは日本を「父親にも6ヶ月以上の有給育児休暇期間を整備している唯一の国」と紹介する一方で「育児休暇を取得する父親は20人に一人」と取得率の低さを指摘しています。
またコロナ禍で改善したとは言え、日本の男性の家事分担率は世界最低レベルです。その理由として「労働時間の長さ」が指摘されていますが、今は在宅勤務が普及しており、男性が家事を手伝おうとすればすぐにでもできる環境です。
日本には男性だけでなく、女性にも「家事や育児は女性の仕事」というバイアス(偏見)が存在します。そのため母親が家事、育児のすべてを抱え込む「ワンオペ育児」に陥りやすいのです。母親の負担を減らすためには、父親や周囲の人が率先して母親に手を差し伸べてあげることが必要です。
「父親は外で働き、母親は家庭で子育てをする」という一昔前の価値観は世界中で消滅しつつあります。どうしたらキャリア形成を損なうことなく仕事と家庭を両立できるのか。男女共通の問題として、それぞれの家庭が、それぞれの状況に合った家族のかたちを考え、実行する時期に来ています。