働いていない女性はいない? 日本の女性政治家を増やすには
3月24日に開催されたWAW!「多様性を成長に」分科会の様子。写真中央がバロン大臣、右はY20委員会の千葉宗一郎会長(ユース代表)、左が筆者 (写真提供:外務省)
<今年の国際女性会議(WAW!)分科会で多様性が組織の成長につながるというテーマが議論されたが、多様化を目指すなら政治家に女性が少ない現実も変えていく必要がある>
3月24日、ホテルニューオータニで開催された政府主催の国際女性会議(WAW!)パネルディスカッションで筆者はモデレータを務めました。テーマは「多様性を成長に」。性別、人種、年齢さまざまな人を生かせる組織が長期的な経済成長につながる、という趣旨で企業経営者、公的年金基金、政治家、20代のリーダーが登壇し議論しました。
途中、ある発言に、会場がどよめきました。「ところで『働いていない』女性は、いません」
これはドミニカの外務大臣フランシーン・バロン氏の発言でした。発言の趣旨は、たとえ家の外で働いてお金をもらっていなくても、女性は家庭内で働いている、ということでした。家事や育児は無報酬ではあっても、立派な労働である、というわけです。バロン氏はこう続けました。
「私には10代の娘が2人います。今日、東京に来るために数日を費やしています。家庭に関して適切なサポートを得られているから、この仕事を続けることができるのです」
ドミニカでは、1980年に女性首相が就任しており、女性政治家が活躍しやすい基盤があった、といった話もありました。
日本の衆院議員の女性比率は10.2%、193カ国中165位
バロン氏の話を聞きながら思い出したのは、小学1年生の娘と数週間前に交わした会話でした。たまたま通りかかった女性センターのパネル展示に、各国の国会議員に占める女性比率のランキングがありました。
列国議会同盟(IPU: Inter-Parliamentary Union)によれば、2019年1月時点で議員に占める女性比率は日本の場合、下院(衆院)が10.2%で193カ国中165位。閣僚に占める女性比率は5.1%(1人)で188カ国中171位です。
「日本がこんなに低いのは嫌だ。なぜこんなに低いの?」と娘に聞かれて理由を説明すると、娘は「じゃあ、わたしが将来、大臣になる。そしてもっと女を増やそう」と言っていました。私は長年、女性に関する取材執筆や講演をしていますが、心のどこかで日本に女性政治家が少ないことを「仕方がない」と思っていたことに気づき、反省しました。娘に「将来は、本当になりたければきっとなれるよ」と話しつつ、そういう社会を早く作らないといけないなあ、と思ったのです。
WAW!には、バロン氏を始め、たくさんの国から女性外務大臣が参加し、いくつものパネルに登壇しました。ある国の大臣は女性政治家に対するメディアの取材姿勢の問題を提起しました。「女性の政治家は、服装や靴のことばかり言われてメディアから批判される。もっと意味のある政策に関する議論をすべき」という発言は、日本にも当てはまると思いました。