スマートウォッチは高齢者の間でユーザーが増加する? 米国2019年の予測
最新テクノロジーに違和感を覚えるシニアは多いが…(写真はイメージ)yacobchuk-iStock
<スマートウォッチの所有者は若い世代が中心だが、健康管理機能に優れた最新のデバイスは今後シニア世代にこそ広まると見込まれている>
米フォーチュン誌は、2019年高齢者の間にスマートウォッチ利用者が広がると予測している。また成人のインターネットユーザーの5分の1が2019年末までに何らかのウェアラブルデバイスを身につけるという。
その大きな理由が、アップルウォッチやフィットビットなどの人気スマートウォッチモデルが、続々と「ヘルスモニター」といった健康管理のための機能を強化していることだ。フィットビットは睡眠時無呼吸症候群を検出する機能、アップルは心電図モニターなどを追加搭載している。
昨年は50%強の伸びを示した市場
米国の業界別売上動向データを調査する機関NPDグループによると、米国におけるスマートウォッチの売上は、2017年11月から2018年11月の1年で51%上昇した。売上高にして、50億ドル(約5500億円)の伸びだ。
売上の上昇は人気のアップルウォッチによるところが大きい。この期間のトップ3である、アップル、サムソン、フィットビットの3ブランド製品だけで市場の88%を独占している。一方でファッション性の強い時計ブランドのフォッシルや、フィットネス機能に焦点を当てているガーミンなども成長株であり、スマートウォッチ市場そのものが、まだ成長過程であることがうかがえる。
同調査レポートによれば、2018年11月現在、米国の成人の16%がスマートウォッチを所有しており、この数字は前年から12%の伸びを示している。現在は18~34歳の若者世代がスマートウォッチ所有者のボリュームゾーンである。
しかし、昨年末にアップルがリリースしたアップルウォッチ シリーズ4は、ユーザーが転倒すると状況を判断する「レスキュー機能」をはじめ、健康管理に有効な機能が強化されており、高齢者に向くデバイスになりそうだとNPDは予測している。
日本では現在未対応だが、米国版では心電図(ECG)が計測できる。EDGのアプリは手首から心拍数を計測し、心拍が正常かどうかのモニタリングをする。心電図のパターンは記録され、保存される。これを医師と共有することもできる。
また昨年はLTE内蔵スマートウォッチ元年でもあった。「これまでスマートフォンを近くに置いておかないと、電話やテキストメッセージなどの機能を利用できなかったが、これからはこうした通信もスマートウォッチから直接行えるようになり、ぐっと使い勝手がよくなった。それがスマートウォッチユーザー増大に大きく影響した」と、NPDのディレクター、ウェストン・ヘンドリックは話す。
救急隊員との会話もスマートウォッチで
商品レビューの専門サイト、トップテンレビューズ(toptenreviews.com)によると、 アップルウォッチ シリーズ4だけでなく、現在、米国では医療機関への警告機能がついたスマートウォッチが続々登場している。例えば、メディカルガーディアンから出ている「フリーダム・ガーディアン」や、モバイルヘルプから出ている「スマート」はシニア世代向けのスマートウォッチだ。
デザイン面は機械が苦手な人でも操作がしやすいシンプルなインターフェイスになっており、いずれも心拍や運動量の測定機能を充実させている。特に、「スマート」は、スマートウォッチのスピーカー機能が優れていることで、緊急時に救急隊員とスマートウォッチ経由で話をする際にも、聞き取りやく伝わりやすいのだという。
ただし、ここで紹介した2つのシニア向けデバイスは現在月額利用費がかかるため、コストパーフォマンス面ではアップルウォッチが優れていると、トップテンレビューズはまとめている。