兄弟でパートナー婚! 結婚よりパートナーシップ? どうなってるイギリスの結婚制度
結婚の意義とは…(写真はイメージ) steved_np3-iStock
<どういう考えを持つカップルにも柔軟に対応できていると言えそうなイギリスの結婚制度。だが今度は、兄弟姉妹間のパートナーシップを認めて欲しいという主張が登場した>
イギリスの結婚制度はとてもややこしい。詳しく解説したら本一冊分の厚さになってしまうだろう。オクスフォード大学出版社発行の辞書Oxford Dictionaryによると、2004年まで「結婚とは、個人関係を結ぶ男女の結束を合法的または正式に認めること」だったが、いまでは「男女」は「二人」と書き換えられ、さらに(歴史的には、または地域によっては結婚は男女間での結束と特定されている)というただし書きがついている。
2004年に何が起こったかというと、同性同士のカップルが、結婚した男女と同じ法的な権利を得られるようにと「シビル・パートナーシップ法(同性カップルのみが対象)」が制定されたのだ。
しかし、この法には年金の扱いなどいくつか婚姻とは異なる部分があった。また同性カップルの中には「やっぱりパートナーじゃいや。結婚して夫と妻、と呼ばれたい」と望む組もあり、2014年にはさらに「同性婚」も法的に認められることに。すぐにポップスターのエルトン・ジョンを含むたくさんの同性カップルが、同性婚を認める教会で挙式をあげ「夫婦」となったことは世界中に報道された。養子や人工授精で子供をもうけ、パパやママが二人いる同性婚家庭ももう珍しくない。
男女でも同性でも夫婦にもパートナーにもなれる法案
さて男女のほうでは、新たに結婚するカップルは減っている。子供ができてもなお同棲(コハビットと呼ばれる)を続ける組が多い。筆者の子供が入学したロンドンの小学校では、30人のクラス中で結婚している両親を持つ子供は2割程度しかいなかった。子供が中学校に進学するころには、その結婚家庭の半数近くが離婚していた。
イギリスでは結婚しても10年以内に40%以上が離婚する。そして離婚家庭に育った子供は、大人になっても結婚に夢も希望も持たないというのが「しない理由」のひとつだ。同棲家庭のほうが長続きするという統計はないが、少なくとも離婚にかかる費用は失わずにすむ。ただ、カップルの片方が亡くなった場合に家が共同名義でなければ相続できないなどの問題がある。
そこに、長く同棲し二人の子供を持つあるイギリス人の男女カップルが、「伝統的な結婚はしたくないが、共に人生を歩むパートナーとして、男女カップルにも同性同士と同じようにシビル・パートナーシップを認めて」という訴えを起こした。これは今年の6月に法案として認められ、議会を通過しているところだ(英ガーディアン紙より)。通ればイギリスでは性別に関係なく、結婚して夫婦にも、シビル・パートナー宣言をしてパートナー同士にもなれ、法的にもどちらもほぼ同じ権利を得られることになる。