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子供がスマホやテレビで遊ぶ時間が長過ぎると認知能力が低下する? 研究結果

2018年10月05日(金)15時15分
吉野潤子

(写真はイメージです)FatCamera-iStock

<スマホやタブレット、テレビなどの画面で遊ぶ時間が子供の脳の発達に影響するという気になる研究結果が発表された>

情報収集も娯楽もコミュニケーションも、スマホ1台でできるようになった。何でもできる手のひらサイズの機械はとても便利で、片時も手放せなくなってしまうのも仕方ないことだ。

スマホの使い過ぎが心身の健康に悪影響を及ぼすというのはもはや周知のことだが、成長途中の子供にはより注意が必要だろう。

最新の研究で、子供がスマホやタブレット、テレビなどのスクリーン画面でゲームをしたりSNSを見たりする娯楽時間が長いと脳の発達に良くない影響があるとする、気になる結果が報告された。

すでに体が完成している大人と違って、子供はとても繊細だ。スマホのゲームなどを延々とやり過ぎないよう、大人が注意深く見守る必要があるだろう。

基準は2時間! それ以上は発育に良くない?

この研究結果は、9月26日、イギリスの医学誌「ランセット・チャイルド・アンド・アドレセント・ヘルス」が発表した。それによると、スマホやタブレットなどでゲームをしたり番組を見たりする娯楽時間が1日あたり2時間以下の子供は、2時間以上使用している子供に比べて、認知テスト(思考、言語、記憶などの能力を評価する)で高得点を獲得したという。米ワシントン・ポスト紙英デイリーメール紙などが報じている。

同研究は東部オンタリオ小児病院研究所(Children's Hospital of Eastern Ontario Research Institute)のジェレミー・ウォルシュ氏が率いたもので、8~11歳の子供4,520人の生活習慣(睡眠時間、運動量、ブルースクリーンでの娯楽の時間など)を調べ、それらの要素が脳の働きに及ぼす影響を分析した。

研究者らが参考にしたのは、子供の健康についてのナショナル・ガイドライン(国が定めたガイドライン)。同ガイドラインでは、1日あたり運動1時間以上、スマホやタブレットなどスクリーンでの娯楽時間は2時間未満、睡眠は9~11時間を勧めている。

この3つの基準を守れていた子供は、たったの5%。63%は2時間以上スクリーン画面で遊んでいることが明らかになった。そして、2時間以上の子供たちはガイドラインを守っている子供たちに比べて、思考・言語・記憶能力を評価するテストの成績が悪いことが判明したという。

スクリーンを見る娯楽時間を減らせば、メンタルパフォーマンス(注:集中力を要する知的作業の効率)の改善に繋がることもわかったとしている。

大人になればある程度自制心が働くものだが、子供は一度面白いと感じたものには何時間でも夢中になってしまう。自己責任では酷なので監視はするべきだろう。画面を見る娯楽時間を1日2時間までという制限は、なかなか難しいのかもしれないが、何か対策しなければと考えさせられる研究である。

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