中間選挙で苦戦の民主党、最終兵器は「中国叩き」
オバマ非難に泣かされる民主党候補たちが中国の脅威をあおって起死回生を狙う
辛辣 中国系アメリカ人を妻に持つ対立候補をやり玉に挙げる民主党のグライムズ Win McNamee/Getty Images
来月4日の米中間選挙を前に、民主党の候補者たちは守勢に立たされている。どの討論会でも「オバマ政権の失政」を支持していると攻撃されているからだ。そんな彼らが非難の矛先を変える対象として見つけたのが、中国だ。
アジアに対する国民の不安を悪用する手は昔からよく使われてきた。80〜90年代にソ連が崩壊すると、多くの候補者は「仮想敵国」を日本に変えた。この場合、脅威は軍事ではなく経済だった。
そして今、アメリカの敵は米経済を上回ったともいわれる中国だ。中東政策やエボラ熱対策が甘いと非難されることにうんざりした民主党候補は、中国に強気な発言をすることで、共和党候補より自分たちのほうが愛国心にあふれているとアピールしている。
リベラルな人たちは、自分が外国嫌いだと思いたがらない。戦争や世界支配にも否定的だ。だが、彼らは弱者保護のために政府が経済活動に介入することには賛成する。そして世界経済では、弱者は自分の生活を脅かす最大の要因は外国の経済力だと思い込みがちだ。
討論会でアメリカの輸出品に対する助成金について質問された民主党のマーク・ワーナー上院議員はこう答えた。「米企業から一方的に武器を取り上げるつもりはない。中国は公平な戦いを挑んでくる相手ではないからだ」
今回の選挙戦における反中キャンペーンで最も辛辣なケースは、上院院内総務を務めている共和党のミッチ・マコネル議員への攻撃だ。彼の妻は中国系アメリカ人のエレーン・チャオ元労働長官で、「アメリカ人労働者に対して差別的な発言をした」と非難されたことがある。
対立候補である民主党のアリソン・ランダーガン・グライムズは今、その点を執拗に攻撃している。グライムズ陣営は、マコネルが選出州のケンタッキーではなく「中国に雇用を創出する」ために働き掛けていて、「中国による為替操作を黙認している」などと責め立てている。