最新記事

米経済

アメリカ1%対99%の格差が過去最大に

1%の富裕層がアメリカ全体の所得の20%を握る。データ分析で明らかになった絶望的なほどの不平等社会

2013年9月12日(木)16時03分
ファイン・グリーンウッド

埋まらない溝 金融危機のツケを払わされているのは99%の庶民 Bigstock

 深刻な不況からなかなか立ち直れないアメリカで、富裕層と貧困層の格差が史上最大に広がっていることが分かった。

 先週発表された報告書「突然金持ちに――アメリカにおける高額所得者の誕生」は、カリフォルニア大学バークレー校のエマヌエル・サエス教授によるもの。1913〜2012年の米内国歳入庁(IRS)のデータを分析し、拡大する一方の所得格差について注目すべき結論を出している。

 報告書によれば、アメリカのいわゆる「1%の金持ち」の所得は08年の金融危機当時からほぼ完全に回復している。ところが残り99%の人たちの所得は、ようやく戻り始めたところだ。

特効薬は所得再分配だが

 それだけではない。昨年のアメリカでは、上位10%の世帯の所得が総所得の50.4%を占めた。1917年以降で最大の割合だ。上位1%が総世帯所得に占める割合は過去最大で、19.3%だった。

 アメリカの低所得層にとって悪いニュースはまだ続く。09〜12年で、上位1%の所得伸び率は31.4%だった(07〜09年の大不況時代にはマイナス36.3%だったから、それをほぼカバーする)。これは09〜12年のアメリカ全体の所得伸び率の95%に当たる。同時期に、下位99%の人たちの伸び率はわずか0.4%でしかなかった。

 昨年の富裕層の収入が普段より良かったのは、保有株式を売却した人が多かったのではないか、とバークレー校のサエスは考えている。今年1月に、キャピタルゲイン(資産売却所得)税の税率引き上げが実施されたからだ。

 かつての世界大恐慌時代には抜本的な政策転換がなされ所得不平等が緩和されたが、最近の不況下ではそうした特効薬は出てきそうにないと、報告書は指摘している。となると、アメリカの所得格差が近い将来、大きく解消されることはなさそうだ。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、対ロ石油制裁を緩和か プーチン氏と「良

ワールド

豪中銀、来週会合で金利措置を双方向で議論へ 不確実

ビジネス

フォルクスワーゲン、今年の利益率4.0─5.5%に

ワールド

世界石油市場、ホルムズ海峡再開なければ壊滅的=サウ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目のやり場に困る」密着ウェア姿がネットを席巻
  • 4
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 5
    人間ダンサーを連れて「圧巻のパフォーマンス」...こ…
  • 6
    ダイヤモンドのような「ふくらはぎ」を鍛える最短ル…
  • 7
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 8
    身長や外見も審査され、軍隊並みの訓練を受ける...中…
  • 9
    トランプも無視できない? イランで浮上した「危機管…
  • 10
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 6
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 8
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 9
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中