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米経済長期失業者が陥る無職スパイラル
求職者に対する求人数は増加傾向にあるとはいえ、恩恵を受けられるのは最近失業した人だけかもしれない
短期決戦 失業後1週間の人の再就職率は失業1年の人の4倍高い Robert Galbraith-Reuters
アメリカの労働市場を、絶え間なく変化する巨大なジグソーパズルだと考えてみよう。空いている穴の部分に、労働者というピースがはまる。さらに穴が空けば、また別の労働者が穴を埋めようとする。
そのパズルは複雑に絡み合った多くの要素――米経済や世界経済の健全度、貿易相手国の移り変わり、技術の進歩、消費需要、景況感、相対賃金、インフレ率の変動など――に左右されながら延々と続いていく。
世界最大の経済大国アメリカが現在抱える問題は、ご存知のように穴を埋めるピースが大量に余っていることだ。米労働省が5月11日に発表した3月の求人件数を見ると、1つの求人に対する求職者数は4.3人だった。ひどい状況に思えるが、これでも過去数カ月に比べれば改善している。金融危機後の最悪の時期には、求人1に対する求職者数は約7人だった。また労働省によれば、レイオフ(一時解雇)も急減している。
雇用は永遠に回復しない?
しかし、すべてが順調なわけではない。
多くのアメリカ人労働者、さらにアメリカ経済全体に関わる大きな問題がある。現在の労働市場に空いた穴は循環的なものか、構造的なものかということだ。前者であれば景気が上向いたときに雇用も回復するが、後者であれば経済構造の変化によって雇用は永続的に失われることになる。
シカゴ大学のロバート・シャイマー教授(経済学)の調査によれば、循環的変化も長期間にわたれば構造的変化になりうる。その理由は、米ニューヨーク・タイムズで「エコノミックス」ブログを執筆するキャサリン・ランペルが昨年12月に書いているように、「有能な労働者でも、失業期間が長くなるほど復職は難しくなる」からだ。ランペルが指摘する重要なポイントを紹介しよう。
シャイマー教授の調査によれば、失業して1週間の人が1カ月以内に仕事を見つけられる割合は51%だが、失業期間がそれ以上になると復職できる割合は極端に低下する。
「失業期間が6カ月以内の人が仕事を見つけられる可能性は平均31%」と、シャイマーは書いている。そして、失業期間が「6カ月を過ぎると19%に低下し、1年以上に及ぶと14%しかなくなる」という。
つまりこの数十年のデータをみると、失業期間が1週間の人が仕事を見つけられる可能性は、失業期間1年の人より4倍近く高いということだ