最新記事

米社会

10代「暗号セックスメール」解読の罠

子供が使う暗号メールを親が解読しても、子供のオーラルセックスや麻薬をやめさせることはできない

2010年4月23日(金)16時43分
ケイト・デイリー

好奇心 携帯メールでなくとも子供はセックスに関する「実験」を行いたがる

 4月22日朝、本誌の電子メールボックスに報道資料が届いた。「秘密のメール暗号:子供はあなたの目を盗んでセックスやドラッグをしているか?」と、資料にはある。その通り。それもあなたの目と鼻の先で。

 資料によれば、解決法はセクスティング(自分の裸の写真を携帯電話で他人に送信する行為)の危険性とマナーの大切さについて2人の作家にインタビューすること――らしい。作家たちは、10代の子供がメールでセックスや薬物、悪い習慣についてやり取りする際の暗号解読も手伝ってくれる。例えば......

 LH6.P911.8.Al Capone.

 この暗号の意味は「セックスしよう(LH6、Let's Have Sex)」「警告―両親が部屋に向かっている(P911、Parents 911※911は緊急電話の番号)」「オーラルセックス(8)」「ヘロイン(AL Capone)」だ。

 とんでもないメールだ。だがそれ以上にショッキングなのは、セクスティングという行為について嘆いたり、またセクスティングがいかにバカなことか10代の子供が分かっていないと仮定していること。昨年インタビューしたシアトル小児病院の青年期医学部長レスリー・R・ウォーカーによれば、10代の若者は裸の写真やきわどいメールを送ることが馬鹿げたことだととっくに気づいている。ほかの少女たち(常に少女たちだ)が仲間や相手によってさらし者にされるようなことは、自分たちにには起きないだろう、と考えているだけだ。

秘密メールを解読しても信頼を失うだけ

 ウォーカーはまた、こういうテキストメールをする子供はかつてスピン・ザ・ボトル(ボトルを回して、ボトルの指した2人がキスする遊び)をしたり、みだらなメモを書いたり、テレフォンセックスを試したような子供たちと同じだと分析している。10代の子供たちは、どんなメディアやテクノロジーを使ってでもセックスに関する「実験」をしようとするものだ。

 携帯電話が子供をセックス狂いにするわけではないし、暗号を解読したところで子供のオーラルセックスをやめさせることはできない。別の手段を見つけるだけだ(この報道資料を見た本誌スタッフは、「セックスが6でオーラルセックスが8なら、7は何なのかなんとなくわかる。でも若者は何番まで使っているんだろう?」と聞いてきた。別のスタッフによると答えは「全部」だ)。

 ひわいなメールや写真を送るのを制限し、子供たちにお互いと自分自身を尊重するよう教えるのは大事だし、子供と性教育や人間関係、信頼、責任について話をすることもとても重要だ。だが親が「子供たちの言葉」で語りかけ、非道徳的な行為を止めさせられるなんて幻想に過ぎない。子供の新しいスキルを駆使して子供の携帯メールを解読したところで、信用を失い無視されるのがオチだ。

 両親は子供がセックス狂いのヘロイン中毒者になるのを受け入れるべきだ、と言っているのではない。むしろその反対だ。性やドラッグ、責任ある行動といったテーマについてオープンかつ正直に話し合ってきた両親が育てた子供は、犯罪に手を染めることなくきちんと高校を卒業するだろう。

 最近子供がヘロインに関する秘密のメールを送っていると怒り狂っても、ポジティブな効果は得られない。最良の方法は、小さいうちから頻繁にこういった大切なテーマについて話をすること。子供がヘロインに手を出しているかどうか調べるため、親がその携帯をこねくりまわす段階にいたっているなら、マナーに関するアドバイスなど何の役にも立たないが。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

独首相訪中、関係修復・貿易赤字是正目指す エアバス

ワールド

米、加の貿易巡る提案に前向き 数週間以内に会合=U

ワールド

気候関連の運用連合「NZAM」が再始動 規定緩和も

ワールド

サマーズ元米財務長官、ハーバード大教授辞任 エプス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 2
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された「恐怖の瞬間」映像が話題に
  • 3
    最高裁はなぜ「今回は」止めた?...トランプ関税を違憲とした「単純な理由」
  • 4
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 5
    【クイズ】サメによる襲撃事件が最も多い国はどこ?
  • 6
    2月末に西の空で起こる珍しい天体現象とは? 「チャ…
  • 7
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 8
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 9
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 10
    「バカにされてる」五輪・選手村で提供の「アメリカ…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 10
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中