最新記事

ユダヤ教

男児の割礼に潜む意外な感染リスク

NYC Eliminates Restrictions on Orthodox Circumcision Ritual

規制緩和でヘルペス感染を防止しようというニューヨークの新たな選択

2015年9月11日(金)17時25分
ジェシカ・ファーガー

印刷

 ニューヨーク市の保健当局は今週、衛生上の問題が指摘されている、ユダヤ教超正統派が行う男児の割礼儀式について、規制を緩和することを決めた。

 男児が生まれて8日後に割礼を施すユダヤ教の儀式では、モヘール(割礼士)と呼ばれる人物が、男児の性器の包皮を切除して血液を吸い出す。ニューヨーク市ではこの儀式を行う際、両親が事前に同意書に署名することを義務付けているが、ニューヨークのビル・デブラシオ市長は、この同意書を撤廃することを公約していた。

 割礼の儀式は、男児の単純ヘルペスウイルス(HSV-1)への感染率が著しく高いことから、市の保健衛生当局が危険視している。感染は、儀式の過程でモヘールから男児へと起こる。2000年以降、少なくとも18人の児童が割礼でウイルスに感染した。この4月に感染したケースでは、市の保健当局には報告されたものの、儀式を執り行ったモヘールは特定されていない。

 デブラシオは、両親から同意書を取り付けるより、宗教コミュニティとの連携を強化した方が感染予防に効果的だと考えている。多くの超正統派の人たちが、ブルームバーグ前市長時代に制定されたこの同意書によって、コミュニティから孤立することを嫌がって規制に反発する感情が生まれた、と主張している。

 新たに緩和される規制のもとでは、割礼に病院が関与し、健康上のリスクについて説明した小冊子を両親に配布する。仮に男児がヘルペスに感染した場合、保健当局は儀式を行ったモヘールのヘルペス検査を強く推奨する。しかしこの検査が、法律で強制されることはない。

 また小冊子では、両親に割礼を受けさせないように促し、儀式をやらない権利があることを説明している。モヘールが、事前に薬を飲んだりマウスウォッシュで消毒したりして予防措置を講じても、感染防止にはならないことも書いてある。

今、あなたにオススメ

最新ニュース

ワールド

ペルー大統領、フジモリ氏に恩赦 健康悪化理由に

2017.12.25

ビジネス

前場の日経平均は小反落、クリスマス休暇で動意薄

2017.12.25

ビジネス

正午のドルは113円前半、参加者少なく動意に乏しい

2017.12.25

ビジネス

中国、来年のM2伸び率目標を過去最低水準に設定へ=現地紙

2017.12.25

新着

ここまで来た AI医療

癌の早期発見で、医療AIが専門医に勝てる理由

2018.11.14
中東

それでも「アラブの春」は終わっていない

2018.11.14
日中関係

安倍首相、日中「三原則」発言のくい違いと中国側が公表した発言記録

2018.11.14
ページトップへ

本誌紹介 最新号

2024.11.26号(11/19発売)

特集:超解説 トランプ2.0

2024.11.26号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

アメリカ政治 異色の顔ぶれ満載のトランプ2.0を読む
■リスト 第2次政権のトンデモ閣僚人事、その人物像は
閣僚 問題児ゲーツを司法長官に、前代未聞の復讐劇が開幕
投資 トランプ当選に笑う業界、泣く業界
外交 片想い? 両想い? ディール外交の危険なプーチン愛
報道 大惨敗メディアに未来はあるか
ルポ 「眠れる有権者」のヒスパニックが目覚めた時
デジタル雑誌を購入
最新号の目次を見る
本誌紹介一覧へ

Recommended

MAGAZINE

特集:静かな戦争

2017-12・26号(12/19発売)

電磁パルス攻撃、音響兵器、細菌感染モスキート......。日常生活に入り込み壊滅的ダメージを与える見えない新兵器

  • 最新号の目次
  • 予約購読お申し込み
  • デジタル版

ニューストピックス

人気ランキング (ジャンル別)

  • 最新記事
  • コラム&ブログ
  • 最新ニュース