70年代初めに、テレビドラマ『燃えよ! カンフー』で有名になった俳優デービッド・キャラダイン(67)。その後はもっぱらビデオ映画にばかり出演していたが、クエンティン・タランティーノの目にとまり、彼の2部作『キル・ビル』に抜擢。冷酷な悪役ビルを演じて、見事な復帰を果たした。
----『キル・ビル』の第1部では、声だけの出演だった。カットされると知ったのはいつ?
たまたまという感じだった。スタジオでせりふを録音し直していたら、クエンティンが急に、「ところで、あなたは第1部には出ないよ」って(笑)。私のほうを見もしなかった。
----そのとき、どう思った?
ショックだった。でも後で、そのほうが効果的だと考えた。1部ではミステリアス、2部では中心的存在。かっこいいじゃないか。
----タランティーノはビルの役をあなたのために書いたのに、ウォーレン・ベイティにオファーしたとか。
別に裏切りではない。映画会社に資金を出させないといけないわけだから。ウォーレンは、観客を集められる俳優だ。
----彼はなぜ役を降りたんだろう。
2人の「ロマンス」が長続きしなかったんだろう。彼らには共通点がまったくないし、ウォーレンはカンフーの訓練なんてやりたくなかったんだと思う。3カ月もの間、ジムに通う彼を想像できるか? あんな大スターがあれこれ指図されて、従うとは思えない。
----いま電話でインタビューしているわけだけど、電話越しのあなたの声は素敵だ。
シェークスピア劇をやったことがあれば、誰だってこういう声は出る。でも不思議なことに、よく言われるんだ。私にとってはただの自分の声で、特別とは思えないんだが。
[2004年4月21日号掲載]