今だから語れる役者人生の裏側
Inside the Actors' Studio
本誌恒例の座談会に今年は豪華な個性派スターが大集合、ブラピの出世話からミッキー・ロークの愚痴まで秘話満載の本音トーク
アカデミー賞授賞式を控え、賞レースで注目の俳優を招いて行う座談会は、今年で12回目。司会が役得なのは、スター同士の交流を間近で見られることだ。
ブラッド・ピット(『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』)がマリブの家を売りに出していると言えば、ロバート・ダウニーJr.(『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』)が言い値で買うと冗談を飛ばす。「なにしろ今年はたっぷり稼いだからね」
アン・ハサウェイ(『レイチェルの結婚』)は名優フランク・ランジェラ(『フロスト×ニクソン』)に「あなたの言葉は全部メモしたい」と賛辞を贈る。ハリウッドで暮らそうかしらと話すイギリス人女優サリー・ホーキンス(『ハッピー・ゴー・ラッキー』)に、ミッキー・ローク(『レスラー』)は「こんな町、さっさと出たほうがいいぞ」と先輩風を吹かす。
幸い座談会の終わるまでホーキンスはいてくれた。進行役は本誌デービッド・アンセンとラミン・セトゥデが担当。
──「名演技」と聞いて思い浮かぶのは?
フランク・ランジェラ 舞台『ナチュラル・アフェクション』のキム・スタンリー。幕が開くと、彼女はベッドに寝ている。目を覚まし両足を床に下ろし、タバコに火をつけてぷかりと吹かす。わずか30秒で役柄を見事に伝えきった。(ブラッド・ピットに)私の名前を出してくれてもかまわんよ。
ブラッド・ピット いや、僕は『ネイキッド』のデービッド・シューリスにしておきます。それと『夢のチョコレート工場』のジーン・ワイルダー。彼は足を引きずりながら登場して、前につんのめったかと思うと一回転する。その瞬間、この男から目が離せなくなる。
サリー・ホーキンス あれはアドリブだったと思うな。
──ミッキー、あなたは?
ミッキー・ローク 何が? 質問はなんだ? 『陽のあたる場所』でシェリー・ウィンタースに詰め寄られるモンゴメリー・クリフトだな。『ギルダ』のリタ・ヘイワースはマジでやばい。生きていたら、電話番号を聞きたいね。
ピット 僕は『ときめきサイエンス』のロバート。
ロバート・ダウニーJr. おい、反則だぞ。
アン・ハサウェイ 舞台『プルーフ』でメアリー・ルイーズ・パーカーが口にする「ファック・ユー」は史上最高の「ファック・ユー」よ。もの思いに沈んでいると思ったら、いきなり「ファック」と言って黙り込む。相手役は戸惑いながら次のせりふを始めるんだけど、パーカーはそれを遮って「ユー」。あのシーンは頭から離れない。
ランジェラ 私は75本の芝居に出たが、いちばん好きなせりふを教えようか。
ハサウェイ ぜひ。
ランジェラ 「しゃぶれ」。クリスティン・バランスキーに向かって、4カ月間言い続けた。毎晩、これを言うのが楽しみでね。
ハサウェイ 私もペニスがらみの場面を思い出した。『シャンプー』でジュリー・クリスティーが酔っぱらって、「彼のアレをしゃぶりたい」とはじけるの。あのせりふ回しは最高。ウォーレン・ベイティのぎょっとした顔もいい。フランク、「新人のころに知っていたら」と思う演技の手法やコツってある?
ランジェラ 自意識過剰にならないことだね。舞台では怖いもの知らずの私が、映画ではまるでイタリアのバアさまだ。カメラに魂を抜かれるんじゃないかと固まった。カメラの前で自由に演じられるようになるまで苦労したよ。5、6歳で俳優を志した人はいる?
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