ポルシェはなぜ稲葉浩志とコラボしたのか?
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稲葉浩志氏(左)とギタリストのスティーヴィー・サラス氏(右)。稲葉氏は過去の名声に固執せず、新しいソロプロジェクト「INABA/SALAS」に挑んだ
<世界的なスポーツカーメーカーのポルシェが、新型「パナメーラ」のプロモーションを稲葉浩志氏の新プロジェクトと協力して行った。一体なぜ? 七五三木社長みずからその狙いを語る>
今年1月、自動車ファンからも音楽ファンからも驚きの声があがったのが、「ポルシェと稲葉浩志氏がコラボレートする」という発表だった。2017年より新型パナメーラの販売が始まるが、ポルシェ ジャパンはそのプロモーションを稲葉氏の新しいソロプロジェクト「INABA/SALAS」とコラボして行うとアナウンスしたのだ。
「INABA/SALAS」とは、B'zの稲葉氏とギタリストのスティーヴィー・サラス氏が始動したプロジェクト。1月18日にアルバム『CHUBBY GROOVE』をリリースし、1月25日にスタートした全国ツアーは全公演がソールドアウト、追加公演が行われるほどの盛況だった。
このアルバムに収録された楽曲『OVERDRIVE』が、新型パナメーラのスペシャルムービー(こちらで観られます)に起用され、1月14日より地上波とBSで放映されたため、目にした人も多いだろう。
ポルシェといえば、世界中で名前を知られるスポーツカーメーカー。一方、稲葉浩志氏は日本を代表するロックアーティストだ。距離があるようにも思える両者は、どのような理由で近づき、コラボレートすることになったのか。
この疑問に答えたのは、ポルシェ ジャパン株式会社で代表取締役社長を務める七五三木敏幸氏だ。
稲葉氏のチャレンジングな姿勢に刺激を受けた
虎ノ門の新しい顔、虎ノ門ヒルズ森タワーの高層階にあるポルシェ ジャパンのオフィス。単刀直入に「なぜ稲葉氏とコラボしたのか」と尋ねると、七五三木氏は温和な口調で、ポルシェの現状から説明を始めた。
「街にポルシェ911をぽんと置いてこの車はどこのメーカーかと尋ねたら、小学生からお年寄りまで、みなさんがポルシェだとお答えになると思います。一方で、4ドアセダンのパナメーラやSUVのカイエン、マカンはそれほど知られていません。もちろん911の高いブランド力とネームバリューで商売をやらせていただいてきたのは確かで、否定はしません。でも自動車業界は激しく変化しており、いままでやってきたことが通用しなくなる可能性も高いと思っています」
なるほど。ポルシェ911というモデルが築いた資産を大事にしつつ、新しい展開を模索していたというわけだ。そんな折、稲葉浩志氏が新たなプロジェクトを発足させることを知ったのだという。
「あれだけの実績がある稲葉さんが、新しいステージに挑むことが素晴らしいと思いました。過去にとらわれないチャレンジを作品で表現するというのは、われわれの姿勢と重ね合わせることができるのではないか。そう感じて、コラボレーションをお願いしました」
実際に「INABA/SALAS」のライブ会場にも足を運んだという七五三木氏は、「たっぷりと汗を絞り取られました」と苦笑しながら、「2曲、3曲と畳みかけるスピード感も、ポルシェに近いと思います」と振り返った。
「稲葉さんがロックアーティストとして素晴らしい実績を重ねていらっしゃるのは、みなさんご存じの通りです。しかしそこに安住せず、スティーヴィー・サラスさんと組んで、新しい曲で満員の観衆を熱狂させている。とてつもないことだと思いました」
新型パナメーラは、ドイツ本国のエンジニアが「ポルシェというブランド、パナメーラという車名とコンセプト、これら3つ以外は全て見直した」と語ったという意欲的なモデルだ。「Courage Changes Everything(勇気こそが全てを変える)」というそのキャッチコピーは、確かにそのまま稲葉氏のチャレンジにも通じるものがありそうだ。