最新記事
映画

32歳で「自己破壊」の寸前に...ブルース・スプリングスティーンを追い込んだ「男の呪い」とは?

Bruce Springsteen, Manhood and Mental Health | Opinion

2025年11月14日(金)19時13分
ケヴィン・パウエル(人道活動家、作家)
ブルース・スプリングスティーン『The River』のレコード

ブルース・スプリングスティーン『The River』のレコード PHLD Luca-shutterstock

<本日公開の映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』でも描かれる、アメリカを代表する歌手が向き合ってきた「集団的な鬱」とは?──(ネタバレなし・レビュー)>

男とは何か?その言葉は、少年の頃から「男であること」によって傷ついてきた人間にとって、どんな意味を持つのか?「我慢しろ」「強くなれ」「文句を言うな」「泣くな」と言い聞かせられるこの世界で――。

この問いは、子供の頃からずっと頭の中にあった。そして、それはアメリカを代表する内省的なシンガーで、60年にわたって創作を続けてきたブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)もまた、向き合ってきた難問でもある。

スプリングスティーンの喉を震わせるようなソウルフルな声を初めて耳にしたのがいつだったか、あるいはフラナリー・オコナー(Flannery O'Connor)を思わせる語り口に気づいた瞬間や、路上の真実を引き寄せるような彼の磁力に引き込まれた時期がいつだったのか、正確には思い出せない。

だが、映画館の座席に腰を下ろし、1982年リリースの伝説的アルバム『ネブラスカ(Nebraska)』を生み出すまでの彼の葛藤を描いた新作『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ(Deliver Me from Nowhere)』に見入り、強く心を揺さぶられたのは確かだった。

映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』予告編


本作が描くのは『Born in the U.S.A.』による大成功の前夜。

Huluのドラマ『ザ・ベア(The Bear)』で知られるジェレミー・アレン・ホワイト(Jeremy Allen White)が、思索に沈み、過去に囚われた若き日のスプリングスティーンを演じる。ホワイトのようなメソッド俳優に理想的な役どころだ。

ガジェット
仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、モバイルバッテリーがビジネスパーソンに最適な理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米国、和平合意迫るためウクライナに圧力 情報・武器

ビジネス

米FRB、インフレリスクなく「短期的に」利下げ可能

ビジネス

ユーロ圏の成長は予想上回る、金利水準は適切=ECB

ワールド

米「ゴールデンドーム」計画、政府閉鎖などで大幅遅延
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 8
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 9
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 10
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中