ニュース速報

ビジネス

米小売売上高半年ぶり大幅減、FRB資産縮小予想通り公表か

2017年09月16日(土)00時09分

 9月15日、8月の米小売売上高は0.2%減で、6カ月ぶりの大幅なマイナスとなった。写真はニューヨークの百貨店で2012年11月撮影(2017年 ロイター/Carlo Allegri)

[ワシントン 15日 ロイター] - 米商務省が15日発表した8月の小売売上高は前月比0.2%減と、6カ月ぶりの大幅なマイナスとなった。

0.1%増との市場予想に反して落ち込んだ。ハリケーン「ハービー」の影響で自動車販売が減ったことが要因とみられる。個人消費のペースが第3・四半期に鈍化することを示唆した。

7月の数字は当初発表の0.6%増から0.3%増へ下方改定された。

8月の内訳は、自動車が1.6%減と、1月以来の大幅な落ち込みとなった。7月は横ばいだった。8月の最終週にテキサス州に上陸し同州ヒューストンに前代未聞の規模の洪水被害をもたらしたハービーで、自動車の販売が落ち込んだとみられる。ただ今後は、洪水で被害を受けた自動車を買い替える動きが予想され、自動車販売は増えるだろう。

8月の前年同月比は3.2%増と、国内需要の基調的な底堅さを示した。

バンク・オブ・ザ・ウエスト(サンフランシスコ)の首席エコノミスト、スコット・アンダーソン氏は「8月は小売売上高から鉱工業生産に至るまで、ハービーの影響が広範に見られた」と指摘。

商務省の当局者は、小売売上高の統計においてハービーの要因だけを切り離すことはできないとしながらも、企業からは「売り上げにプラスとマイナス双方の影響があったとする声があった一方で、全く影響がなかったとの回答もあった」と付け加えた。

自動車やガソリン、建材、食品サービスを除いたコア売上高は前月比0.2%減だった。7月は0.6%増加していた。コア売上高は、国内総生産(GDP)の消費支出に最も近いとされる。8月にコア指数が落ち込んだことは、第3・四半期に消費支出のペースが鈍化することを示唆する。

建材は0.5%減。7月は0.9%増加していた。ハービーや、フロリダ州を前週末に直撃したハリケーン「イルマ」の被害を受けた復興作業で9月は建材の売り上げが増える可能性がある。ガソリンスタンドは2.5%増。ガソリン価格の上昇を反映した。電子・家電は0.7%減。衣料は1.0%減少した。7月は0.5%増加していた。百貨店は、顧客の来店が減っていることや、アマゾン・ドット・コムに代表されるオンライン小売業者との競争激化などで打撃を受けている。

オンライン小売りも8月は1.1%減と、14年4月以来の大幅な落ち込みだった。外食は0.3%増。スポーツ用品・趣味関連は0.1%増だった。

米連邦準備理事会(FRB)は9月19-20日の会合で4兆2000億ドル規模の米国債や住宅ローン担保証券(MBS)の保有資産を縮小し始める旨を発表すると市場はみており、8月の小売売上高が落ち込んだことでこうした見方が変わる可能性は低い。次回の利上げは12月まで待つとの見方が大勢だ。FRBは今年2回利上げしている。

米経済の3分の2以上を占める個人消費は、第2・四半期に年率で3.3%増加し、GDPは年率3.0%増まで勢いが加速した。

労働市場が最大雇用に近い状態であるにもかかわらず賃金の伸びは弱いが、個人消費のファンダメンタルズは底堅い。株式相場は過去最高値水準にあり、住宅価格も上昇し続けていることから資産価値が上がっている。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ住民の50%超が不公平な和平を懸念=世論

ワールド

北朝鮮、日米のミサイル共同生産合意を批判 「安保リ

ビジネス

相互関税「即時発効」と米政権、トランプ氏が2日発表

ビジネス

EQT、日本の不動産部門責任者にKKR幹部を任命
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中