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カナダからの呟き

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カナダでは寝ている間に起こっている東京オリンピック

iStock - Joel Papalini

While you're sleeping(あなたが寝ている間に)

東京オリンピックが開催されている。

カナダでも連日報道はされているが、オリンピックを話題にしている人はそう多くない。

大きな理由は:

  • 時差が大きいこと
  • 夏のバケーション時期であること
  • コロナ禍&コロナ明け
  • 夏季オリンピックへの興味のなさ
  • テレビ離れ
  • 公費支出への嫌悪感

などがあるように思う。

もちろん、ニュースではカナダ選手の活躍やメダル数も報道されているし、無視されているわけではない。しかし、熱狂や盛り上がりはそれほどでもなく、淡々としている印象だ。

[日本との時差]

カナダは6つのタイムゾーンがある。日本とは11時間半から16時間の時差がある。例えばオンタリオ州の場合は東部標準時(ニューヨークと同じ)で13時間の時差(日本が13時間先行)だ。よって殆どのゲームは寝ている間や観るには難しい時間に行われる。

なので睡眠時間や生活リズムを崩してまでオリンピックを観ようという熱情は希薄だ。ニュースサイトでも、While you're sleeping(あなたが寝ている間に)という見出しでオリンピックの結果を伝えていたりする。

[バケーションタイム]

夏のバケーション時期なので出かけている人が多く、オリンピックより、自分たちの生活を如何に楽しむかに比重が置かれている。特にロックダウン後の規制が解けたタイミングなので、家でテレビを見るより、外に出たい人の方が多いように思う。夏の休暇は大抵、2〜3週間とる人が多い。

[コロナ禍とコロナ明け]

いくつかの州は、まだコロナ規制下にある。コロナ禍で生活の基盤を持ち直すのに必死でオリンピックに目を向ける余裕がない。そして集まってテレビを視聴するなどの行為が避けられている。カナダではコロナ感染による死者も多かった為、「コロナ禍でオリンピックなどのイベントごとを見る気になれない」という人も多い。

ロックダウンが緩められた州でも日常生活を取り戻すことに忙しい。イベントより、まず目の前の自分の生活を取り戻すことに重点が置かれている。

[夏季オリンピックの興味の薄さ]

カナダでは冬季オリンピックの方が人気がある。カナダは冬季スポーツの方が人気があるし、メダル獲得数も多い。そしてアイスホッケーはカナダにおいては宗教であると言っても過言ではない。

よって、友人や周囲との会話で盛り上がれる冬季オリンピックに比べて、興味が薄い。さらに新しい競技やルールがよくわからない、などの理由もある。夏季オリンピックに興味がないわけではない。夏季オリンピックも楽しむカナダだが、冬季オリンピックに情熱を注ぎ込みすぎるのだ。

[テレビ離れ]

コロナ禍でテレビからネットのストリームサービスに転じた人が多い。オリンピックのライブストリームも多く存在するがコロナ禍で仲間と集まって観ることも難しいので、一人で観るものとしてスポーツイベントは向いていない。

[公費支出への嫌悪感]

プロスポーツと異なり、オリンピックには公費がかけられるのでコロナ禍でのイベントに疑問を呈する人たちもいる。

視聴率の低い東京オリンピック

時差の問題は、お隣の国、米国でも顕著だ。NBCの東京オリンピックの開催式の視聴率は2016年のオリンピック開催式に比べ30%も低かったそうだ。東京オリンピックは、北米では、おそらく、今までで一番低い視聴率のオリンピックになるだろう。時差とタイミングもあるが、ネットストリーミングという視聴者が選択肢を得ている時代において、オリンピックがかつて持っていた『誰もが見るイベント』という位置付けは既に希薄だ。Los Angels Timesでは、このまま視聴率の低調が続けば2032年までの大会の放映権利を持つNBCユニバーサル社に財政的な影響を与える可能性を示唆している[参照:Tokyo Olympic ratings are a bust for NBC but a boost for streaming]。

一方でストリーミングサービス利用者は急増しているらしい。オリンピックは既にリアルタイムで見るものではなくなりつつあるのかもしれない。

楽しんではいるが重要ではない

カナダ人がオリンピックを楽しんでいない訳ではない。基本的にカナダ人はオリンピック好きだ。アスリートの活躍を願い、応援し、その努力とパフォーマンスを賞賛する。選手を賞賛する書き込みもそれなりにある。しかし、生活においての重要項目ではないのだ。そして今のこのタイミングではオリンピックを視聴することの優先度は高くない。東京オリンピックは『いつのまにか起こっている』、『寝ている間に起こっている』ことなのだ。

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著者プロフィール
m

カナダに棲む女。食事においての最後の一品は自分が食べたい。寒がりなのにカナダに移住。英語が苦手なのにカナダに移住。フランス語が喋れないのにカナダに移住。

著書、『毒の滴』が販売中です。

ブログ:毒の滴(したたり)

Twitter: @poisondrop333

Instagram: drippingofpoison

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