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ミャンマーに暮らす

匿名|ミャンマー

ミャンマークーデターより140日。現地で感じる違和感

関係者提供

ミャンマーに住むいち日本人としての考えをただ書かせていただければと思います。
何分諸先生方のような知見は私にはありません。
何かを代表して語る訳でもありません。
あくまで一人の日本人がこんな事を考えたといった程度で受け取ってください。

クーデターから6ヶ月目を迎え、最近違和感を感じるようになりました。
この違和感は一体どこから来るのでしょう。
日本ではミャンマーのニュースが減ってきているようです。
それとともにミャンマーへの現状に対する意見にも食い違いが出てきました。
目的は同じなのに、意見の対立が見られるのは少しもったいない気がします。

国を想う気持ちは同じでも意見は様々。
皆が思う理想の民主化への過程も様々であることは当然の事だと思います。
目的を同じくする同志、手段を正しく選びながら進んでいただきたいと思っています。
出来ることなら少しでも早く、日本や世界が何某かの決定打を打てればと考えてしまいますが、紛争というのはこの国だけで起きている問題ではありません。
自分の住む国だけ救いたいというのは勝手な想いかもしれません。

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ペーパーストライキの様子:関係者提供

2月1日より始まったクーデターによりこの国での暮らしは一変しました。
私の勝手な感覚ですが、一気に10年以上前に戻ったという印象です。
今私が理由無く感じている閉塞感は外国人だからというだけではないでしょう。
恐らく一部の層(軍関係者や特定の富裕層)以外全ての人々が感じていることと思います。

しかし、5月末辺りからミャンマーに平穏が戻りつつあるというような表現があちこちで散見されるようになりました。
決してそのすべてを否定する訳ではありませんが、現地で生活する私としてはとても違和感のある表現です。
確かに、街を歩けば平常に戻ったかのような錯覚に陥ります。
ニュースで伝えられるように、街に人が戻り、お店が開くようになり、一部経済が戻って来たことは事実であり、素直に喜んでいいことと思います。

しかし、まるで全てなかったかのように
「ここから色々と再開させていく」
と言っている軍には嫌悪感を含めた様々な負の感情が沸いてきます。

長い間、国が鎖国状態にあった理由は間違いなく軍にあります。
そんな中でようやく民主化へ向けての動きがはじまった2011年以降、
(実際には軍が自分たちの権益、権力のほとんどを手放してはいなかった訳ですが)
ミャンマーの成長は目を見張るものがありました。
かりそめではあった訳ですが、それまでとは比べ物にならない自由がこの国に生まれました。
国民の喜びは想像に難くありません。

5000万人以上の国民が国の発展の為に積み重ねてきた10年は、一夜にしてひっくり返されました。
この先、1000万以上の飢餓民が出ることや、経済が未曾有の大ダメージを受ける事も予想されています。
これまでこの国を襲った数多くの自然災害や、コロナをも凌駕する大ダメージです。

これは明らかに人災です。
これだけの犠牲を払ってでも軍は自分たちのやり方でこの国を導くと言っているのです。
私利私欲のためだけに。
こんなことが許されるのでしょうか?


今、何となく回復したかに見えているこの平穏は間違いなくまやかしです。
ミャンマー国民のほとんどはその事に気づいています。
1988年や2007年の時のような暗い時代は続いていくでしょう。
それが一体どのタイミングで好転していくのか、誰にもわかりません。
首謀者である軍側すら予想できていないでしょう。
愚かな独裁者たちはこの国のダメージなどお構いなしなのです。
それはこの数か月での軍が起こしてきた経済的、人的損失を見ればあきらかです。
(ミャンマーではこの数か月で被害にあった人の数も失われた資産も膨大です)
このミャンマーの現実を叩きつけられた時、私は何度目かの絶望を味わいました。

想像していただきたい。
ある日を境に自分たちが当たり前に与えられていた自由や権利全てに制限がかけられるのです。
そして一人の国民の了承も得ないまま、強引に上に立った人間たちが言います。
『私たちが示す方向こそが正しい。
今は私たちの言う通りにしなさい。
時期がきたら(私たちの都合が良い時がくれば)またあなたたちの意見も聞いてあげよう(選挙は行ってあげよう)
納得できないようなら、相応の人たちが死ぬことも仕方のない事だ。
雑草は刈らねば作物も育たないのだから。』

現在、865名の犠牲者がいるとされていますが、この数字も正確ではないでしょう。
勝手な私の感覚では優に2000名は超えていると思っています。
軍人ではありません、一般人がです。
この犠牲者の中には小さな子供が少なくとも数十名以上含まれています。
全て軍による虐殺です。

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関係者提供

こんなことが許されて良いはずがありません。
きっと今感じている違和感はそこなのだと思います。
この一見平穏に見える今のミャンマーの為の犠牲がこれまでに失われた命なのだとしたらあまりにも釣り合いません。
ですが、それを忘れさせよう、麻痺させようとする勢力が確実にあります。

これはミャンマーに限らず、人類がこれまで積み上げてきた研鑽と、進歩への冒涜です。
135の民族が暮らすこの国には世界に例を見ない多様性があり、自然豊かな土地では農業が盛んで、まだ確認されていない資源も無数にあると言われていて、大きなポテンシャルを秘めています。
そんな素晴らしい国で今、一部の軍人による国民への虐殺を含む数々の悪行が日常的に行われています。
毎日です。

日本人として、このことが少しでも多くの方に伝わることを願い筆を取りました。
どうか、この国の怒りを共に感じていただきたい。

ミャンマーは日本ととても縁が深い国です。
1兆円以上の投資が日本から行われたのは勿論偶然ではありません。
戦後日本が苦しい時期に、米を長年寄付してくれたのもミャンマーです。
その他にも戦前から様々な交流があったのです。
日本がミャンマーを救う為、大きな役割を果たせると信じています。
事態は決して良い方向に進んでいません。

一時のまやかしを含んだ危うい状況が引き続きミャンマーを取り巻いています。

この国に残る日本人としてせめてこの違和感を共に感じていただければ幸いです。

そして、アウン・サン・スー・チーさん。
誕生日おめでとうございます。
あなたが皆の希望なのは今も変わりありません。

 

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