コラム

2021年米国政治、バイデン政権vs共和党のパワーバランスを読み解く

2021年05月27日(木)17時30分

財政政策についても民主党が当初のインフラ投資法案とは名ばかりの利権バラマキ法案を作成したのに対し、共和党側はミニマムの物理的インフラ整備に限定した対案を提出している。

民主党内の中道派議員もバイデン政権のインフラ投資法案の財政規模を抑制したいと考えている議員もおり、それらの議員も共和党による対案が示されたことを事実上利用し、バイデン政権に規模縮小を求めてきた様子も伺える。最終的には上述の財政調整措置で民主党は共和党の妨害を突っぱねられるが、それにしても幾らかの妥協は迫られることになるだろう。

最終的には世論調査上の「民意」にかかっている

そこで重要なことは最終的には「民意」ということになる。バイデン政権と民主党にとっては選択肢は常に強硬案から妥協案まで全て並んでいる状態だ。共和党側がバイデン政権に政策をどこまで止められるかは世論調査上の民意にかかっている。

したがって、バイデン大統領は、ワシントンD.C.の共和党議員ではなく、共和党支持者に対して政策への超党派の支持を呼び掛けるメッセージを常に発している。共和党内の中道派からの支持が高まるなら、共和党議員が妥協するなら良し、共和党議員が法案を突っぱねても問題と判断できる。逆に共和党側はバイデン政権の政策は左派に完全に飲み込まれていると喧伝し、民主党支持者内の中道保守層の取り込みを試みるだろう。

以上、上記の政局状況を背景として、バイデン大統領が米国民に対して発するメッセージ、それに対する共和党側のカウンタ―メッセージは行われている。そのため、それらメッセージの微妙な表現の変化は実は大きな政治変動の前兆である可能性が常に内包されている。現代米国政治に興味がある読者諸氏には、これらの基礎知識を前提として、今後の展開を予測・分析してほしいものと思う。

プロフィール

渡瀬 裕哉

国際政治アナリスト、早稲田大学招聘研究員
1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。日米間のビジネスサポートに取り組み、米国共和党保守派と深い関係を有することからTokyo Tea Partyを創設。全米の保守派指導者が集うFREEPACにおいて日本人初の来賓となった。主な著作は『日本人の知らないトランプ再選のシナリオ』(産学社)、『トランプの黒幕 日本人が知らない共和党保守派の正体』(祥伝社)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)、『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 ”トランプorバイデン”アメリカの選択』(すばる舎)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、26年の防衛輸出「数十億ドル」も 戦時

ワールド

仏伊首脳が非難の応酬、仏極右活動家死亡事件で

ワールド

ラガルドECB総裁、任期満了が「基本方針」 WSJ

ビジネス

日経平均は3日ぶり反落、連休前の手じまい売り
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由...「落葉帰根」派も「落地生根」派も
  • 3
    中道「大敗北」、最大の原因は「高市ブーム」ではなかった...繰り返される、米民主党と同じ過ち
  • 4
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 5
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 6
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 7
    ディープフェイクを超えた「AI汚染」の脅威──中国発…
  • 8
    ウクライナ戦争が180度変えた「軍事戦略」の在り方..…
  • 9
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 5
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 6
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 7
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 8
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story