最新記事
異常接近

アラスカ上空でロシア軍機がF16の後方死角からパッシング、信じられない映像を米軍が公開

Video Shows Russian Warplane Buzzing American Jet Near US Coast

2024年10月2日(水)17時39分
ライアン・チャン
アラスカ上空、右からロシアのツボレフ95爆撃機、スホイ35戦闘機、F15戦闘機

ロシア機の信じられない行動が記録された(アラスカ上空、右からロシアのツボレフ95爆撃機、スホイ35戦闘機、F15戦闘機)U.S. Department of Defense

<アラスカ防空識別圏で、ロシア戦闘機が米軍機に危険な異常接近した事件が発生。コックピットからのリアルな映像を米軍が公開した>

北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)によると、9月23日にアラスカ防空識別圏(ADIZ)の空中で接近遭遇が発生。米軍は国際空域で4機のロシア軍機を探知・追跡した。

【動画】あわや衝突?アラスカ上空でロシア軍機がF16に仕掛けたパッシング映像を米空軍が公開

NORADはアメリカとカナダの連合軍事組織で、北米の航空や宇宙に関する観測と危機管理を担当している。防空識別圏は、各国が、国土の防衛のために領空の外側に設定する空域で、領空に進入してくる航空機の識別・位置の確認・飛行指示を行うことができる。

NORADは、衛星、地上および空中レーダー、戦闘機からなる重層的な防衛ネットワークを用いて、進入した航空機を追跡し、適切な行動を通知することになっている。

米空軍のF16戦闘機のコックピットから撮影されたこのドラマチックな映像には、ロシアのツボレフ95爆撃機に対応するために発進したアメリカの戦闘機に対して、ロシアのスホイ35が、NORADが危険視する行動に出る様子が映っていた。

NORADが公開した動画と写真によると、スホイ35は、F16とツボレフ95の間のわずかな隙間に飛び込んできた。米軍機の左後方から高速で異常接近したため、米軍パイロットは機体を右に旋回せざるをえなかった。

プロとしてあるまじき行為

「ロシアのスホイ35機の行動は、危険で、プロの空軍としてあるまじき行為だ。すべてを危険にさらすものだった」と、米北方軍と北米航空宇宙防衛軍の司令官を務めるグレゴリー・ギヨー米空軍大将は述べた。

NORADのインターセプトは、安全で規律あるものだった、と彼は付け加えた。NORADによれば、ロシア空軍機はアメリカやカナダの領空には進入しておらず、アラスカ防空識別圏におけるロシア機の進入は定期的に発生していたため、脅威とは見なされなかったという。

ロシアの国営タス通信は、元ロシア空軍パイロットの言葉を引用し、スホイ35のパイロットはF16を追い払おうとする際、「極めて勇敢」な行動をとったと報じた。

9月10日に開始されたロシアの大規模演習「オケアン(大洋)2024」が1週間後に終了した後、NORADはアラスカ防空識別圏内をロシア軍機が飛行した4件の事件を報告した。防空識別圏はアラスカ近海の広い空域をカバーしている。

9月23日の接近遭遇は、NORADが9月に報告した5件目の事件にあたる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

過度な為替変動に警戒、リスク監視が重要=加藤財務相

ワールド

アングル:ベトナムで対中感情が軟化、SNSの影響強

ビジネス

S&P、フランスを「Aプラス」に格下げ 財政再建遅

ワールド

中国により厳格な姿勢を、米財務長官がIMFと世銀に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 2
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 3
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過去最高水準に
  • 4
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 5
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「金の産出量」が多い国は?
  • 7
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 8
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 10
    ビーチを楽しむ観光客のもとにサメの大群...ショッキ…
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 10
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中