最新記事
ウクライナ戦争

衛星写真に「巨大な黒煙」...ウクライナ軍、クリミア最大の石油ターミナルにミサイル攻撃 ロシア側は「火災」と表現

Crimea Satellite Photos Reveal Damage to Oil Terminal on Fire After Strike

2024年10月11日(金)10時20分
ビラール・ラーマン
トゥアプセにあるロスネフチの製油所

ここ数カ月、ウクライナ軍はロシアの石油貯蔵施設を集中攻撃している。写真はクラスノダール地方・トゥアプセにあるロシアの石油大手ロスネフチの製油所 Sergan Gmung-Shutterstock

<「重要な標的をまた一つ攻撃」とウクライナ軍。ミサイル部隊とウクライナ国防軍の別の部隊が連携して実施したとしている>

ロシアが実効支配するウクライナ南部のクリミア半島で、ウクライナに攻撃された石油ターミナルから黒煙が上がる様子をとらえたとする衛星画像が公開された。

【衛星画像】クリミア最大の石油ターミナルから立ち上る「巨大な黒煙」...攻撃前との比較で分かる、その被害規模

ウクライナ軍は、クリミア半島最大の石油貯蔵施設であるフェオドシアのターミナルをミサイル部隊が攻撃したことを発表。この攻撃を受けて10月7日未明、同ターミナルで火災が発生した。

ロシアの戦闘遂行能力をかき乱すため、ウクライナは施設を狙ったドローン攻撃を続けている。

ラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティーは、人工衛星がとらえたフェオドシア石油貯蔵施設の火災とする画像をソーシャル・メディアに掲載した。

テレグラムの投稿では「フェオドシアの港にある石油貯蔵施設の火災の高画質衛星画像」と説明し、「写真は本日10月8日、現地時間の14時57分に撮影。その時点で燃料タンク少なくとも10基が火に包まれていた。目撃者によると、火は他の石油製品のコンテナに燃え移り、一部が爆発した」と伝えている。

ウクライナ軍はこの攻撃を確認し、「ウクライナ国防軍はロシアの侵略者にとって重要な標的をまた一つ攻撃した」とソーシャルメディアで発表した。

ウクライナ軍参謀本部によると、このターミナルから輸送される石油製品は「ロシア占領軍のニーズを満たすために」使用されていた。

今回の攻撃は、ウクライナ軍のミサイル部隊がウクライナ国防軍の別の部隊と連携して実施した。目的はロシアの軍事力と経済を「弱体化させる」ことだったとしている。

欧州政策分析センター(CEPA)の客員シニアフェロー、オーラ・サバドゥスは「ここ数カ月でウクライナは、ロシアが戦争を続けるために必要な燃料だけでなく、収入も奪う目的で、数十カ所の石油貯蔵施設を攻撃している」と本誌に語った。

「国内の燃料不足をあおって住民にも影響を与えている。クリミアの燃料貯蔵施設に対する夜間攻撃は、同施設がこの地域で最大の積み替え拠点であり、ロシア占領軍に貢献していたことを考えると、さらに重大だ」

「同半島のロシア軍を弱体化させる目的とは別に、クリミア半島を必ず奪還するというウクライナの強い決意を見せつけた」と、サバドゥスは解説している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

北朝鮮のロシア産石油輸入量、国連の制限を超過 衛星

ワールド

COP29議長国、年間2500億ドルの先進国拠出を

ビジネス

米11月総合PMI2年半超ぶり高水準、次期政権の企

ビジネス

ECB幹部、EUの経済結束呼びかけ 「対トランプ」
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 6
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 9
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 10
    巨大隕石の衝突が「生命を進化」させた? 地球史初期…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 6
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中