最新記事
ウクライナ戦争

ウクライナ軍がミサイル基地にもなる黒海の石油施設を奪還か、当局が作戦映像を公開

Ukraine Video Shows Battles for Gas Platforms Near Snake Island

2024年10月8日(火)16時38分
エリー・クック
石油施設を奪還したウクライナ軍の夜間作戦

石油施設を奪還したウクライナ軍の夜間攻撃、とされる映像  Oneindia News/YouTube

<要衝スネーク・アイランドを奪還し、ロシアの黒海艦隊を撃退するなど、黒海では開戦直後から大きな戦果を上げてきたウクライナ軍が、今度は軍事基地にもなる石油・ガス掘削基地を奪還したと発表>

黒海に突き出たクリミア半島の西に位置する戦略的な前哨拠点の近くで、ウクライナ軍がロシア軍と戦っているとみられる映像が新たに公開された。そこは、ウクライナとロシアが争奪戦を繰り広げてきた因縁の場所だ。

【動画】ウクライナ軍の劇的な石油施設奪還作戦

ウクライナ国境警備隊が10月5日に公開したこの映像は、ウクライナ軍が国防省情報総局と共同で、黒海の要衝ズミイヌイ島(英語名スネーク・アイランド)周辺でロシアが占領していた複数の石油・ガス掘削施設(別名ボイコ・タワー)を奪還したときのものだとウクライナは主張している。

ロシア軍は、2022年2月24日のウクライナ侵攻開始後、数時間以内に、真っ先に、ズミイヌイ島を攻撃した。

ズミイヌイ島はルーマニアに近い黒海の北西部に位置し、ロシアが併合したクリミア半島の西端にあるセヴァストポリ海軍基地を拠点とする黒海艦隊を攻撃するのに好都合な場所で、実際ウクライナ軍は大きな戦果をあげてきた。

大胆な洋上夜間作戦

今回の映像にある作戦は夜間に実施されたとみられる。ボートに乗ったウクライナ軍兵士が暗闇に向けて発砲すると、石油施設とみられる場所から火の手が上がる。次に映像が昼間に切り替わると、施設は炎に包まれていた。

本誌はこの映像について独自に検証できておらず、撮影日も不明だ。ウクライナのニュースメディア「ウクライナ・プラウダ」によれば、2024年夏に撮影された映像のようだが、詳細は報じられていない。

ウクライナは2022年6月、ズミイヌイ島を奪還。ロシアは、「善意の印」として同島から撤退したと強弁した。

ウクライナ国防省情報総局トップのキリロ・ブダノフは以前、ズミイヌイ島について、交易にも軍事的にも、戦略的な要衝だと述べていた。ズミイヌイ島はウクライナの港湾都市オデーサの南に位置する小島だが、黒海を行き来するすべての船舶が避けて通れない脅威だ。

ウクライナ国境警備隊は10月5日のテレグラムへの投稿にこうコメントした。「我々は多大な努力によって戦略的に重要な石油施設の一部を占拠し、支配下におさめた。我々にとっていわば海の要塞である」「これを保持することにより、黒海のかなりの部分を支配下に置き、防衛力を強化できる」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

小泉防衛相、中国軍のレーダー照射を説明 豪国防相「

ワールド

米安保戦略、ロシアを「直接的な脅威」とせず クレム

ワールド

中国海軍、日本の主張は「事実と矛盾」 レーダー照射

ワールド

豪国防相と東シナ海や南シナ海について深刻な懸念共有
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中