最新記事
野生生物

クマの住宅侵入が急増...市街地で懸念広がる

Bears Are Opening Doors and Making Themselves at Home in California

2024年10月3日(木)10時20分
トム・ハワース
住宅地に侵入するクロクマ、住民と野生動物の新たな衝突(写真はイメージです) Geoff Brooks-Unsplash

住宅地に侵入するクロクマ、住民と野生動物の新たな衝突(写真はイメージです) Geoff Brooks-Unsplash

<シエラマドレの住宅街にクロクマの侵入が相次いでいる。2020年の目撃件数は100件だったが、2023年には380件に達し、住民の生活に深刻な影響を与え始めている>

カリフォルニア州のエンジェルス国有林(約2800平方キロメートル)に隣接するシエラマドレの市街地で、生息地を人に侵害されて人家や車や庭などに侵入するクロクマが増えている。

【動画】クマの住宅侵入が急増...市街地で懸念広がる

侵入者に遭遇したという住民からの通報は日常茶飯事になった。クマたちは餌を求めて住宅に押し入り、時には単純にドアを開けて入り込む。最近ではアルタビスタドライブに面した廃屋にすみついて、当局に追い出されたクマがニュースになった。

同地でクマを目撃することは珍しくない。しかしこうした新しい現象に対しては懸念が強まっている。2020年は100件程度だったシエラマドレのクマ目撃件数は、2023年までには380件に激増し、侵入の通報は少なくとも50件に上った。

自宅に侵入されたことがあるという住民のサラ・オールデンは、クマについて「この5年で本当に厄介者になった。どんどん図々しくなっている」とCBSロサンゼルスに語った。

オールデンの家に侵入したクマは、ごみをまき散らしていったという。

カリフォルニア州魚類野生生物局でサウスコースト地区を管轄するエリン・ウィルソンは5月にシエラマドレ市議会で、簡単に追い払うことができるクマもいれば、危険なクマもいると証言した。中には人間の予定を覚えてごみ収集日に住宅地をうろついたり、人を怖がらなくなって器物を損壊したり家畜を殺したりするクマもいるという。

本誌はクマの侵入について魚類野生生物局に電話でコメントを求めている。

アルタビスタドライブの廃屋にいたクマは、特に大きなトラブルを巻き起こした。サンゲイブリエル渓谷を見晴らすこの家は、空き家だったことからクマがすみつき、悪臭がひどいという近隣住民からの苦情を受けて市が対応に乗り出した。

家の持ち主とは連絡が取れなかったため、市は物件調査のための令状を取得。8月に魚類野生生物局が実施した調査で、割れた窓ガラスやクマの足跡、糞、腐った食べ物など、クマの侵入を裏付ける明らかな証拠が見つかった。

市はこの家に板を張って敷地を清掃した。以来、クマは姿を見せていない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、トランプ氏発言で危険にさら

ビジネス

テスラ、米生産で中国製部品の排除をサプライヤーに要

ビジネス

米政権文書、アリババが中国軍に技術協力と指摘=FT

ビジネス

エヌビディア決算にハイテク株の手掛かり求める展開に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 6
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 7
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 8
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中