最新記事
児童虐待

肛門性交も強制...変態宗教団体から新たに200人の子どもを救出── マレーシア

Nearly 200 Children Rescued From Islamic Group, Many Abused: Police

2024年9月24日(火)18時08分
マシュー・インペリ
児童虐待のイメージ

施設に囚われていたのは、多くが信者の子どもだった Tinnakorn jorruang/Shutterstock

<施設に収容された子どもの多くは親が信者。幼い頃からとんでもない競技を教え込まれた子どもは身体も心も深く傷ついている>

マレーシアの警察当局は9月23日、イスラム系の複数の組織から200人近くの子どもを救出したと発表した。その多くは性的虐待を受けていたという。

【動画】逮捕された変態宗教の容疑者たち

マレーシア警察のラザルディン・フサイン長官は、グローバル・イフワーン・サービセズ・アンド・ビジネス(GISB)ホールディングスと関係がある複数の養護施設から、子どもや若者を救出したと発表した。うち59人は、5歳以下の幼い子どもだったという。

救出された中には、むち打ちの折檻を受けている動画が発見された男児や、足で踏まれている男児もいた、とフサインは述べた。

今回の捜索では、計187人の子どもが救出された。これで、これまでに救い出した18歳以下の子どもの数は合計572人になった。2024年に入って始まったGISBホールディングスに対する捜査の成果だ。

複数の警察幹部によると、今回逮捕された容疑者は少なくとも156人にのぼったという。

子ども同士の虐待強要も

フサインによると、救出された子どもの一部は肛門性交の被害に遭っていたほか、お互いに性的虐待行為をするように強要されていたケースもあったという。一部には熱したスプーンを押し当てられて火傷を負った子どももいた。

現在も進行中の医療的スクリーニングにより、少なくとも172人の子どもが心身両面で傷ついており、少なくとも13人が肛門性交をさせられていたことが判明している。

警察によると、被害者の大半はGISB従業員の子どもだ。GISBへの忠誠心を植え付けるために、まだ幼いころに養護施設に送られて教義を教え込まれていたという。

GISBの取り締まりは、マレーシア国王が迅速な警察の捜査を要求して以来、にわかに激しさを増している。衝撃的な虐待の疑惑に接して、国民の間では怒りが広がっている。

GISBは、イスラム教の生活様式を推進すると謳う一方、スーパーやパン屋、レストラン、薬局など、マレーシア国内外で多岐にわたる事業を展開している。

同グループの起源をたどると、アル・アルカムというイスラム系宗教団体に行き着くが、この団体は、マレーシア政府によって異端とされ、1994年に非合法化されている。

警察当局は先週、GISBの幹部複数の身柄を拘束した。同グループの最高経営責任者(CEO)であるナシルディン・モハメド・アリ、ならびに彼の妻2人、子ども2人も含まれている。また、非合法化されたアル・アルカムの創設者で、2010年に死亡した故アシャリ・モハメドの親族たちも逮捕されている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、加・メキシコ首脳と貿易巡り会談 W杯抽

ワールド

プーチン氏と米特使の会談「真に友好的」=ロシア大統

ビジネス

ネットフリックス、ワーナー資産買収で合意 720億

ビジネス

米国株式市場=小幅高、利下げ期待で ネトフリの買収
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 2
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い国」はどこ?
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 6
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 7
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 2
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中