最新記事
考古学

エルサレムで発見された2700年前の「守護精霊印章」...その希少性と謎

'Extremely Rare and Unusual' Ancient Stone Artifact Discovered in Jerusalem

2024年9月4日(水)17時00分
アリストス・ジョージャウ
アッシリアの影響を映す2700年前の印章、エルサレムで発見(写真はイメージです) Robert Bye-Unsplash

アッシリアの影響を映す2700年前の印章、エルサレムで発見(写真はイメージです) Robert Bye-Unsplash

<エルサレムで約2700年前の印章が発掘された。守護精霊が刻まれたこの希少な石工品は、ユダ王国の高位者に由来し、新アッシリアの文化的影響を伝えている>

およそ2700年前のものと思われる「極めて希少かつ特異な」石工品が、エルサレムで発掘された。

【画像】エルサレムで発見された2700年前の「守護精霊印章」

出土したのは黒い石でできた印章で、エルサレム旧市街にある神殿の丘(別名アルアクサ)の南壁付近で、イスラエル考古学庁とダビデの町が発掘した。同地はユダヤ教、イスラム教、キリスト教の聖地とされる。

石には古ヘブライ文字で名前が刻まれ、翼をもつ精霊が描かれていた。イスラエル考古学庁のフィリップ・ヴコサヴォヴィッチが本誌に語ったところによると、この石工品はお守りや、文書を封印する印章として使われていたらしい。

「この印章は古代エルサレムの発掘で見つかった出土品の中でも特に美しく、最高水準の芸術が施されている」。イスラエル考古学庁の発掘責任者を務めるユヴァル・バルークとナヴォット・ロムはプレスリリースでそう指摘した。

印章は上下を貫く穴が開けられており、チェーンを通して首にかけることもできる。中央に描かれた有翼の精霊は、縞模様が入った長い衣をまとい、右の方へ足を踏み出している。長いカールの髪が首元を覆い、頭には帽子または王冠が載っている。

手のひらを開いて腕を伸ばした姿は、手に何か持っていることの表れのようだ。

ヴコサヴォヴィッチによると、こうした有翼の像は、一種の守護精霊のような存在として、紀元前9世紀から7世紀の新アッシリア美術で盛んに描かれた。つまりこの印章は、アッシリア帝国(首都エルサレムを含むイスラエル人のユダ王国を征服した古代近東の一大文明)の影響を物語る。

「これは極めて希少で特異な発見だ。有翼の『ジーニー』、つまり守護精霊が見つかったのは、イスラエルでも、地域考古学においても初めてだった」(ヴコサヴォヴィッチ)

精霊の両側に刻まれた古ヘブライ文字の碑文は、ローマ字にすると「Le Yeho'ezer ben Hosh'ayahu」と読める。

ハイファ大学の研究者ロニー・ライヒは本誌の取材に対し、「(Yeho'ezerは)よくある名前だった」と説明する。

研究チームによると、この石工品はもともと、ユダ王国で高い地位にあったHosh'ayahuという名の男性が首にかけていたお守りだったらしい。男性が自分の権力の象徴として身に着けていた可能性もある。

「制作したのは地元の職人のユダ人だったと思われる。職人は持ち主の求めに応じてお守りを作っていた。芸術的水準は非常に高い」(ヴコサヴォヴィッチ)

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

東京外為市場・午前=ドル155円挟み上下、日銀タカ

ビジネス

米エクソンとシェブロン、ベネズエラ事業に前向き 長

ビジネス

首相の為替発言、円安メリット強調したものでは全くな

ワールド

イタリア第4四半期成長率、予想上回る前期比0.3%
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 2
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」から生まれる
  • 3
    世界初、太陽光だけで走る完全自己充電バイク...イタリア建築家が生んだ次世代モビリティ「ソラリス」
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    中国がちらつかせる「琉球カード」の真意
  • 6
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 7
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    【銘柄】「大戸屋」「木曽路」も株価が上がる...外食…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中