最新記事
ウクライナ戦争

「フル装備」「攻撃準備の整った」燃料気化爆弾発射装置を爆破する劇的瞬間...FPVドローン映像をウクライナが公開

Ukraine Video Shows Rare Russian TOS-1A System Being Wiped Out in Strike

2024年8月5日(月)19時45分
エリー・クック
TOS-1A

戦勝記念日パレードのリハーサルで披露されたTOS-1A(2021年5月7日、モスクワ) Free Wind 2014-Shutterstock

<ロシアの多連装ロケットシステム「TOS-1A」を破壊したとウクライナ保安庁が発表>

激戦が続くウクライナ南部において、ウクライナ軍がロシア軍のサーモバリック(燃料気化)爆薬弾頭ロケット弾を発射する装置の「破壊に成功した」と、ウクライナの政府機関が発表した。

【動画】燃料気化爆弾発射装置「TOS-1A」を爆破する劇的瞬間...FPVドローン、暗視カメラ映像をウクライナが公開

ウクライナ保安庁(SBU)が7月3日の声明で明らかにしたところによると、同国南部のザポリージャ州において、「TOS-1A(別名ソンスィピョーク)」システムを破壊したという。

ウクライナ保安庁は暗視カメラによる映像も公開した。そこには、FPV(一人称視点)ドローンが多連装ロケットシステムであるTOS-1Aに向かっていく様子とみられる映像が映っている。さらに別のドローンが、最初のドローンがTOS-1Aに衝突し、爆炎に飲み込まれる様子を記録している。

本誌は独自にこの動画の信憑性を確認することができなかった。

サーモバリック爆弾は、二段階の爆発によって従来の兵器よりも破壊力の大きな爆発を引き起こす。「真空爆弾」という名でも知られるこの兵器は、旧ソ連およびロシアによって、アフガニスタンやチェチェンで使われたほか、1960年代にはアメリカ軍によって使用されたこともある。

これらのサーモバリック弾頭ロケット弾による「焼夷効果および爆風効果」は、従来の爆薬を用いた兵器に比べて長く続くと、イギリス国防省は2022年3月に解説している。

「TOS-1Aの威力は壊滅的だ」と同省は述べ、こう説明している。「インフラを破壊し、人の内臓に甚大なダメージをもたらすとともに閃光熱傷を発生させ、その威力にさらされた者を死に至らしめる」

TOS-1Aは建物や塹壕といった標的に対して用いられることが多い。

TOS-1Aは数十発のサーモバリック弾頭ロケット弾を発射可能で、そのバージョンによって、それぞれ異なる主力戦車の車体に搭載されている。TOS-1AはTOS-1の改良版で、米軍によると、「より長いロケット弾を搭載可能になった結果、射程距離が伸びた」とされている。

ロシア国営の武器輸出業者、ロスオボロンエクスポルトはTOS-1Aについて、90秒以内に発射準備が整う重火炎放射器だと説明し、「非常に高い戦闘能力を備えた極めて致死性の高い兵器だ」としている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

政府、総合経済対策を閣議決定 事業規模39兆円

ビジネス

英小売売上高、10月は前月比-0.7% 予算案発表

ビジネス

アングル:日本株は次の「起爆剤」8兆円の行方に関心

ビジネス

三菱UFJ銀、貸金庫担当の元行員が十数億円の顧客資
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 9
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中