最新記事
NATO

ロシアの脅威に日々直面するドイツのNATO空軍基地で警戒レベルが「チャーリー」に

NATO Air Base Security Scare Sparked by Russian Threat

2024年8月28日(水)17時13分
イザベル・バンブルーゲン
ガイレンキルヒェン空軍基地のゲートに警戒のサイン

ガイレンキルヒェン空軍基地のゲートに出された「警戒」のサイン(8月23日) REUTERS/Thilo Schmuelgen

<ドローン攻撃、飲み水の汚染、偵察等々、ロシアがいつ何を仕掛けてくるか戦々恐々のNATO空軍基地>

先週、ドイツ西部のNATO空軍基地で、ロシアによるドローン攻撃の危険を察知して警戒レベルが引き上げられる一件があったと、独メディアが8月26日に報じた。

【動画】警戒態勢のNATO基地と複数のAWACS機

ドイツ通信社(DPA)は、ドイツの情報機関からドローンを使った「ロシアによる破壊行為につながる可能性が高い準備行動」の兆候があったという情報を得た。

NATOの早期警戒管制機(AWACS)の拠点でもあるガイレンキルヒェン空軍基地の警戒レベルは8月22日、「予防措置」として一時的に引き上げられた。NATOのAWACS隊のX(旧Twitter)アカウントは、8月23日にそう投稿した。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領による本格的なウクライナ侵攻が続くなか、ロシアと西側諸国の関係は緊張が続いている。NATOはウクライナに軍事的援助と装備を提供することで戦争に加担している、とプーチンは非難する。

結局、ガイレンキルヒェン空軍基地の高い警戒レベルは24時間続いた。

AWACS隊がXに出した声明には、こう書かれていた。「NATOガイレンキルヒェン空軍基地の警戒レベルは、『ブラボー+(Bravo+)』に戻った。一時的な『チャーリー(Charlie)』への引き上げは、組織と人員に対する潜在的なリスクを最小限に抑えるための予防措置だった。すべての作戦は、計画通りに進行している」

作戦に関わらないスタッフは帰宅

フォース・プロテクション・コンディション(FPCON)と呼ばれる米国防総省のシステムが定める脅威レベルは、米軍兵士や施設に対するテロ脅威を特定し、予防行動や対応を推奨する。ノーマル、アルファ(Alpha)、ブラボー、チャーリー、デルタ(Delta)の5段階があり、デルタが最高レベルの警戒態勢だ。

NATO空軍基地で今回一時的に設定された警戒レベル「チャーリー」は、「何らかの出来事が発生した場合、あるいは、人員や施設を標的にしたテロ行為の可能性を情報機関が得た場合」に適用される。

Xの投稿によると、警戒レベルは最初、「潜在的な脅威を示す情報に基づいて」引き上げられ、予防措置として、ミッションに必要とされないスタッフは全員帰宅させられたという。

ドイツの「ビルト(Bild)」紙は、今回の出来事の数日前に、ガイレンキルヒェン空軍基地が一時閉鎖される事件もあった、と報じた。給水システムが意図的に汚染されたのではないかという懸念からだが、検査の結果、異常は見つからなかったという。

ビルト紙は先週も、ドイツ北部の北海沿岸の都市ブルンスビュッテルで、ロシアの偵察用ドローンが、重要な核インフラ施設上空を飛行した疑いについて、ドイツが調査していると報じた。

NATO基地へのドローン攻撃に関するドイツ情報機関の主張について、ロシアはまだコメントしていない。

(翻訳:ガリレオ)

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ホンダ、半導体不足でメキシコの車生産停止 米・カナ

ビジネス

イスラエル、ガザ停戦協定の履行再開と表明 空爆で1

ビジネス

米韓が通商合意、トランプ氏言明 3500億ドル投資

ワールド

印パ衝突、250%の関税警告で回避=トランプ氏
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」にSNS震撼、誰もが恐れる「その正体」とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    コレがなければ「進次郎が首相」?...高市早苗を総理に押し上げた「2つの要因」、流れを変えたカーク「参政党演説」
  • 4
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 5
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 6
    「ランナーズハイ」から覚めたイスラエルが直面する…
  • 7
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 8
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 9
    リチウムイオンバッテリー火災で国家クラウドが炎上─…
  • 10
    楽器演奏が「脳の健康」を保つ...高齢期の記憶力維持…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中