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拡散中のハリス副大統領「ぎこちないスピーチ映像」がフェイクと言い切れるこれだけの理由【ファクトチェック】

Fact Check: Kamala Harris Deep Fake Spreads After Biden Drops Out

2024年7月25日(木)10時23分
トム・ノートン

今回のフェイク動画は、ハリスが2023年にハワード大学で行った人工妊娠中絶の権利擁護に関するスピーチの映像を使っている。このときのスピーチは、ニューヨーク・ポスト紙がいくつかの場面を「言葉のサラダ(まとまりがないこと)」と呼ぶなど、一部でからかいの的となった。

ハリスは、そのスピーチでこう述べている。

「私がとても重要だと思うのは、これまで多くの素晴らしい指導者たちから聞いたように、あらゆる瞬間において――そして確かにこの瞬間においても――私たちが存在し、居合わせているその瞬間を目にすること、そしてそれを文脈化できること、自分たちが歴史の中に、それも過去だけでなく未来につながる瞬間のどこに位置するのかを理解することだ」

このスピーチ動画には複数の単語が繰り返し用いられており、それらを使って、人工知能(AI)によるフェイク動画が生成された可能性がある。

ホワイトハウスで入手できる書き起こし全文をチェックしても、ハリスが、今回ソーシャルメディアで共有された動画に出てくるのと同じフレーズを口にした記録はない。

結論、この動画は偽物だ。

ソーシャルメディアに投稿された、意味の通らないハリスのスピーチ動画は本物ではない。2023年に同氏が行ったスピーチを基にAIが生成した動画とみられる。

冗長な言い回しがからかわれていたスピーチだが、今回拡散された動画にあるようなハリスの発言は、ホワイトハウスの公式な書き起こしでは確認できない。

このファクトチェックは、ニューズウィーク米国版のファクトチェックチームによって行われた。
(翻訳:ガリレオ)

<編集部注:7月24日10時時点で、CherylWroteItの投稿が削除されていることを確認しましたが、同ユーザーが投稿したハリスの動画は他のユーザーたちによって拡散されています>

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