最新記事
ロシア軍事

ロシアが「世界初」の地上型FPVドローンを開発、「竜の歯」を相手に突破訓練中

Russia Creates FPV Kamikaze Ground Drone to Destroy 'Dragon's Teeth'

2024年6月3日(月)16時08分
エリー・クック

ウクライナ軍が設置している「竜の歯」。ロシアは対戦車用の障害物をも突破するUGVを作ったというが(2024年3月12日、ハルキウ) REUTERS/Vyacheslav Madiyevskyy

<ドローン開発競争は、無人航空機(ドローン)、無人艇(水上ドローン)、無人地上車両(地上ドローン、UGV)と、とどまるところを知らない。新型UGVを開発したロシアのロステックがその創造物を「地上ロボット」と呼ぶように、ドローン戦争はどんどんロボット戦争に近づいていくのだろうか>

ロシアの国営軍需企業ロステックは、オペレーターがドローンと同じ景色を画面で見ながらFPV操作して地上を走行する「世界初の」地上ドローンを開発したと明らかにした。

【動画】地上ドローン(UGV)、「百人力のウクライナ爆破車」vs「巨体で負傷兵も運ぶロシアのロジ車」

ロステックが6月1日に発表した声明によれば、この地上ドローンの名称は「デペシャ」。敵の兵士や兵器、かつてロシア軍もウクライナ戦車の防御用に築いた障害物「竜の歯」の排除や破壊のために設計され、現在はテスト中だという。

 

竜の歯は戦車の前進を阻み、敵軍による占領地域の拡大を防ぐために設置される障害物でコンクリートブロック製。ロシア軍に攻め込まれてウクライナ軍も前線に設置した。

デペシャは、オペレーターがゴーグルで現場のリアルタイム映像を見ながら、ジョイスティックで操作できるという。自爆攻撃に使えるタイプの無人車両もあり、こちらは「バギー」という。

「現在、『地上ロボット』についてはさまざまなテストを行っている最中だ」ととロステックは述べた。テストはウクライナ領内でも行われているという。

空中を飛ぶドローンは、ウクライナとロシアの双方が派手に使用し、ネットでも大きな話題になっている。

一方地上ドローンは「無人地上車両(UGV)」とも呼ばれ、ウクライナとロシアの両国が現在、開発に鎬を削っている。

すでに「戦果」を挙げた例も

ロシア国営通信社RIAノーボスチはデペシャについて「1人称視点の映像を見ながらFPV操作する地上型カミカゼロボットとしては世界初」だと伝えている。

もっとも、ここ数カ月間のウクライナの報道や軍の報告書によれば、ウクライナ軍はロシア軍に対し、地上ドローンによる特攻攻撃をすでに行っているらしい。4月にはウクライナの第63独立機械化旅団が、地上ドローンがロシア軍の兵士が潜む塹壕に接近し、自爆した様子とみられる動画を公開した。

また同じ4月には、ウクライナのデジタル担当相でドローン開発を主導するミハイロ・フェドロフが、ウクライナの地上型カミカゼロボットがドネツク州の橋を破壊するのに一役買ったと述べた。ロシア軍はこの橋を、補給路として使っていた。

3月の半ばには、ウクライナ政府が運営するクラウドファンディングサイト「ユナイテッド24」が、ウクライナが地上ドローンの大量生産を始め、今後数カ月間に数百のシステムを購入する計画もあると伝えていた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、日韓などアジア歴訪 中国と「ディ

ビジネス

ムーディーズ、フランスの見通し「ネガティブ」に修正

ワールド

米国、コロンビア大統領に制裁 麻薬対策せずと非難

ワールド

再送-タイのシリキット王太后が93歳で死去、王室に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 2
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任務戦闘艦を進水 
  • 3
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元に現れた「1羽の野鳥」が取った「まさかの行動」にSNS涙
  • 4
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 5
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 6
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 7
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 8
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 9
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 10
    アメリカの現状に「重なりすぎて怖い」...映画『ワン…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 3
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中