イスラエルによるイラン大使館空爆は「恐ろしいテロ」か「正当な軍事攻撃」か?
A Warning from Tehran
一方でアメリカは、中東全域での紛争につながりかねない行為には賛成できないと繰り返し表明してきた。アントニー・ブリンケン米国務長官はこの点を2日の声明でも確認したが、イスラエルを名指しすることは避けた。
「紛争の拡大を防ぐために各国と緊密に協議している。レバノンでもイラクでもシリアでも、紅海方面でもイエメンでもだ」。ブリンケンは訪問先のパリでそう語ったが、今回のイラン大使館攻撃に関しては「事実関係を確認中」とするにとどめた。
その一方、ブリンケンはレバノン情勢を念頭に、旧宗主国フランスとの協議を続けているとし、レバノンでの新たな紛争は「誰も、イスラエルも(シーア派民兵組織の)ヒズボラも、レバノンもイランも望んでいない」と強調した。
「抵抗の枢軸」を公然支持
ジョン・カービー米大統領補佐官(広報担当)も「ダマスカスで起きたことについて現時点で話せることはない」とし、アメリカの関与を否定するにとどめている。
レバノンやイラク、シリア、イエメンで活動するシーア派民兵組織、いわゆる「抵抗の枢軸」をイラン政府は公然と支持しているが、指揮命令系統の存在は否定している。
だがイスラエル軍は長年にわたり、イランとの関係が疑われるシリア国内の標的に対する非公然の空爆を繰り返しており、シーア派民兵組織はイランの事実上の前線基地だと非難してきた。
イスラエル政府は原則として、こうした空爆への関与を肯定も否定もしない立場だ。ただし一部の政治家や軍事筋が個々の攻撃への関与を認めることはある。
今回のイラン大使館攻撃に関して、イスラエル側は沈黙を守っているが、同じ4月1日にガザで民間支援団体ワールド・セントラル・キッチンのスタッフ7人の命を奪ったミサイル攻撃については率直に関与を認めている。
イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は民間人の被害に「心からの悲しみ」を表明し、どのような状況だったかを調査すると約束した。
ちなみにイランの国連大使エルシャディも2日の声明でこの事件に言及し、イスラエルは故意に民間人を標的にしていると訴えた。もちろんイスラエル軍はこうした主張を否定し、ハマスこそ非戦闘員を標的にしていると主張するが、当然のことながらハマス側は否定している。
エルシャディはまた、アメリカとその同盟諸国が中東危機の責任をイランに転嫁しようとする一方、イスラエルの身勝手な行動を野放しにしていると糾弾し、アメリカこそが紛争の拡大を画策していると指摘して、こう続けた。
「アメリカはイスラエルの現政権が犯した全ての犯罪に責任がある。ガザでの野蛮な大量虐殺行為は、アメリカの明確な同意と政治的・財政的・軍事的な支援、そしてパートナーシップなしには起こり得なかった」
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