最新記事
野生生物

シャチがホホジロザメを捕食...内臓をむさぼる...レアな「単独狩り」の一部始終

Orca Consumes Great White Sharks in 'Astonishing' Video First

2024年3月4日(月)17時40分
ロビン・ホワイト
(写真はイメージです) Christopher Meder-Shutterstock

(写真はイメージです) Christopher Meder-Shutterstock

<シャチは非常に知能が高く社会的な動物で、通常は複雑な集団戦術を用いて獲物を仕留める>

シャチが1匹でホホジロザメを狩り、その肝臓を口に運ぶ様子が映された驚くべき映像が公開された。この驚異的な発見については、アフリカ海洋科学ジャーナルに詳細が掲載されている。

【動画】シャチがホホジロザメを捕食...内臓をむさぼる...レアな「単独狩り」の一部始終

2017年、南アフリカの西ケープ州フォールス湾沖で、ホホジロザメを狩るシャチのペアが初めて観察された。ポートとスターボードと名付けられたこのペアは、サメの体を引き裂いてその肝臓をむさぼるという残忍な攻撃で悪名高くなった。

以来、この研究を率いたローズ大学の鮫研究者アリソン・タウナーは、この奇妙な行動についてさらなる洞察を求めてきた。彼女はこの出会いを「驚異的」と表現している。

シャチは非常に知能が高く社会的な動物で、通常は複雑な集団戦術を用いて獲物を仕留める。群れで行動する際、彼らはアザラシ、アシカ、さらには他の鯨種を狙うことができる。

しかし、この映像では、スターボードが単独で行動している様子が示されている。「シャチは大型捕食者、特にサメを狩ることで知られているが、通常は集団での協力が必要だ。私たちを驚かせたのは、スターボードの戦略がいかに迅速かつ巧妙であったかだ。この場合のホホジロザメは若齢で、2.5メートル未満であり、6メートル以上、2.5トンに達する大型のものを単独で狩るよりも明らかに容易だった」とタウナーは本誌に語った。

スターボードは、少なくとも2匹のホホジロザメを殺害した。科学者が狩りを観察したのは1匹だけだったが、後に11フィートの鮫の死骸が岸に打ち上げられた。

「これらのサメに対する捕食行動は、2015年と2017年に最初にケープタウンとガンズバイ近くで記録された。2024年になって、私たちはシャチによるサメへの捕食がより定期的に観察され、特にモッセルベイのような沿岸地域で東に移動しているのを見ている」とタウナーは述べた。

この異常な狩猟行動の中で、タウナーはより大きな保全努力の必要性を訴えている。「シャチは自然に海洋の捕食者を獲物とするが、私たちの海には数多くの人間による圧力がある。より良い管理が極めて重要だ」と彼女は言った。

20250225issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中