最新記事
注目ニュースを動画で解説

ウクライナは本当に負けてる? ロシアが犯した「5つの失策」【アニメで解説】

2024年3月25日(月)16時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
ロシアが犯した5つの失策

Newsweek Japan-YouTube

<3年目に突入したウクライナ侵攻で、これまでにロシアが犯してきた失敗について解説したアニメーション動画の内容を一部紹介する>

ロシアがウクライナ侵攻を開始して2年が経過した。ロシアは2月にアウディーイウカを掌握したが、本当にウクライナは戦争に負けているのか?

ロシアの軍事アナリストでフレッチャー法律外交大学院客員研究員パベル・ルジンは、「最大の過ちは、この戦争を始めたことだ」と本誌に語っている。

この2年のうちにロシアが犯した5つの失策について紹介する。

本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「ウクライナは本当に負けてる? ロシアが犯した「5つの失策」【アニメで解説】」の内容をダイジェスト的に紹介する。

 
◇ ◇ ◇

1)「戦術的傲慢さ」が露呈したキーウ電撃作戦

戦争初期、ロシアはキーウ郊外のホストメル空港を占拠し、進攻の足がかりにしようとしていたが、これが失敗。

また、ベラルーシからキーウに向かっていた輸送車の車列は65キロにも及び、ウクライナの攻撃によって徐々に侵食された。これがロシア軍のキーウ占拠を支えるはずだったが、むしろ戦術的傲慢さの象徴となった。

キーウ電撃作戦の大失敗

2)黒海での想定外の損失

ロシアが誇る黒海艦隊が海軍の存在しないウクライナ軍に苦しめられている事実は、世界を驚かせている。

2022年4月には、黒海艦隊の旗艦である誘導ミサイル巡洋艦「モスクワ」がウクライナの対艦ミサイルによって撃沈されるという衝撃的な事件があり、第二次世界大戦以降の海戦で最も大きな損失となった。

侵攻以前には約80隻あったと考えられるロシア艦だが、ウクライナは少なくとも25隻を撃沈し、15隻が損傷のため修理に回されたと主張している。

黒海で味わった屈辱

3)敗北と撤退は「善意のしるし」とロシア政府

領土が大きく変動した2022年の戦闘は、最前線で停滞している現在の戦況とはまるで異なる。

ロシアが4月にキーウを撤退した後、両陣営は戦闘を再開。ウクライナは東部ハルキウ地方と南部ヘルソン地方で勝利を収めた。

ロシア政府は、4月のキーウ、9月のハルキウ、11月のヘルソンと、ロシア軍の敗北と撤退をすべてロシア側の「善意のしるし」としている。

善意のしるし

4)プリゴジンの台頭を許したプーチン政権

ウクライナ侵攻は、ロシア政府内のパワーバランスをも動かし、権力を振るう新たなルートをプーチンの側近たちにもたらした。最も衝撃的だったのが、エフゲニー・プリゴジンの台頭だ。

ケータリング業で財をなしたオリガルヒ(新興財閥)の彼は、民間軍事会社ワグネルを率いて22年から23年にかけて東部ドネツク州での戦闘を主導。ロシア国内で、現実主義者で民衆の味方というイメージを作り上げることに成功した。

昨年6月にロシア南西部の基地で起こした反乱はモスクワ手前でストップし、その後、彼の乗ったプライベートジェットは墜落した。しかし、クーデターを許したことと、治安当局が未然にそれを防げなかったことで、プーチンの正統性は打撃を受けたと、海外では受け止められている。

「プーチンの料理人」

5)防空システムに「穴」

開戦当初はやりたい放題だったロシアだが、戦闘が続く中でウクライナは長距離攻撃能力の向上に努めた。その中で、ロシアの防空システムに「穴」があることも明らかになっていった。

ウクライナはドローン開発プログラムに相当のリソースを投入。防空システムが機能しないことが多過ぎたために、ロシアのインターネットでは「防空システムは何をしている?」と不安視するフレーズがはやり言葉になったほどだ。

プーチンのスピーチライターを務めたことのある政治アナリストであるアバス・ガリャモフは、「(プーチンの軍隊は)前進する方法が分かっていないばかりか、防衛も同じくらい下手だ」とテレグラムに投稿した。

穴だらけの防空システム

■より詳しい内容については動画をご覧ください。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、凍結資産巡りEU批判 「主要産油国の外

ビジネス

金利を変更する理由ない、政策は当面安定推移=スペイ

ワールド

仏上下両院合同委、予算妥協案で合意できず 緊急立法

ワールド

プーチン氏、「ウクライナ和平条件変わらず」 年末会
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 7
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中