日本で免疫治療を受ける韓国のがん患者、韓国の法改正で医療渡航は変わるのか?
免疫治療の普及に向けた医療界の葛藤と経済的影響
免疫治療を求める患者数に比べて対応可能な医療機関が不足しており、申し込みから施術まで数か月かかる患者も少なくない。
免疫治療が規制されてきた背景に医師らの反対がある。がん患者に日本の免疫治療を紹介するエージェントは、普及によって収益が減ることを懸念する医師が少なくないと話している。
韓国のがん治療は、患者負担が少ない一方、医療機関は収益が大きい。韓国の公的健康保険は病気や治療によって支給率が異なっており、がん治療は95パーセントが支払われる。加えて民間医療保険も免責を除いた患者負担を全額補填する「実損填補保険」が普及している。
保険診療と自由診療を組み合わせる混合診療が認められており、例えば自己負担額の90パーセントを補填する医療保険の加入者が、診察や検査、入院といった保険診療50万円に加えて100万円の自由診療を受けた際の本人負担は10万円ほどである。医療機関は実損填補保険に加入している患者に自由診療を提案し、患者は医療機関が提示した治療法を選択する。
免疫療法推進派は治療費の国外流出を懸念する。免疫治療は1回の採取と数回の投与が主流である。投与1回数万円の幹細胞注射もなかにはあるが、1回あたり数十万円、総額100万円から500万円が一般的で、体質や病状等により追加投与も行われる。
韓国の先端再生バイオ法成立後の影響と展望
韓国のがん患者が日本の医療機関に支払う総額は、少なく見積っても年間数百億円に達している。加えて、渡航費や滞在費、また末期患者は介助する家族等の帯同も必須で、患者負担、すなわち日本への支出はさらに大きい。
免疫療法は、がんの進行を止めるなど相応の効果が確認されるが、反対派医師は収益減を心配し、推進派は治療費の国外流出を懸念する。患者への配慮はその次となっている。
先端再生バイオ法が成立し、韓国内での免疫治療が可能となった。韓国企業が開発した治療を受ける患者が利用するとみられるが、高度医療という性質上、実績がある日本の治療を求める患者が減ることはないだろう。
「がん治療は日本」がなくなることはないどころか、療法自体の認知度が高まって増える可能性も考えられる。
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