メディア接触の新潮流...「ニュース回避傾向」が強い層の特徴とは?
メディア情報環境の差異と「ニュース回避傾向」
さて、このように異なるメディア環境に身を置くことと、情報接触に対する意識に関連はあるのだろうか。最後の分析として、上記のメディア接触パターンと「ニュース回避傾向」の関連性に関する分析結果を紹介したい。ニュース回避傾向(News avoidance)は、市民がニュースを避けて情報接触することを指し、本調査では「できることならニュースを見ずに過ごしたい」という質問で測定された。
SMPP調査(郵送)における「ニュース回避傾向」と所属クラスの関係

上の図は、ニュース回避傾向(値が大きいほど、ニュース回避傾向が強い)を従属変数とし、独立変数として各所属クラスのダミー変数を投入し推定した回帰分析の結果である(どのメディア接触質問にも「接触していない」とした回答者をクラス0と区別し、また、クラス3所属ダミーが比較基準になっている)。係数が統計的に有意であったのは、クラス2とクラス5の所属者である。
クラス2グループに所属する人は、特にテレビ系メディアへの接触率が高く、新聞・ネットニュースへの接触率も高い。このような人々は、ニュース回避傾向が低い。注目すべきは 、クラス5の所属者である。SNSへの接触率が高いが、新聞・テレビ系(ハード・ソフトニュース)への接触率がかなり低いパターンを持つクラス5の所属者は、統計的有意にニュース回避傾向が高いことがわかる。
本稿では、SMPP調査から、人々のメディア接触状況とメディア利用に関連する意識を分析・検討した。主要な結果として、人々のメディア情報環境は、インターネット中心型の接触形態においても、伝統メディアへの接触を残すタイプとそうでないタイプと細分化されること、ニュース回避傾向はSNSを中心に接触し、伝統メディアへの接触率が極めて低いグループで特に高いことを確認した。
情報環境の多様化によってニュースの入手可能性は高まっているのにもかかわらず、ニュース回避傾向が見られることは、パーソナライズ化が進む情報環境において、民主主義に参加する市民の「共通の情報基盤」が失われつつあることを示唆しているのではないだろうか。このような「人々の生きているメディア環境の差異」が分断に関連するものであるのか、今後さらに検討が必要である。
大森翔子(おおもりしょうこ) 法政大学社会学部専任講師
1993年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。2023年度より現職。専門は政治コミュニケーション・政治行動論。著書に『メディア変革期の政治コミュニケーション』(勁草書房、2023年)。
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