不幸なアメリカ人ほぼ過去最悪で4%、ダントツ不幸は無党派層
Americans 'Suffering' at Rate Rarely Reached
今どうして「不幸指数」が上がるのか?学者も首をひねる Wirestock Creators/Shutterstock.
<リーマンショックやコロナのときに比べれば平穏な近年でも現状や将来に不安な人が増えるのはなぜか>
アメリカでは、今の生活や今後の展望に苦しむ人の割合がリーマンショック後、最も高い水準に達している。
世論調査会社ギャラップの調査によれば、2023年10〜12月期に現在の生活や将来への期待について、悲観的な評価をしたアメリカ人の割合は4.3%だった。
2022年4〜6月期以降の6四半期で、悲観的な評価をした人の割合が4%を超えたのはこれで5回目。グレート・リセッション(大不況)が起きた2008年〜2022年初頭までの期間の大半は、4%未満の水準で推移していた。
ギャラップによれば、悲観的評価をした人の割合の2022年と2023年の平均値はいずれも、2000年代末のグレート・リセッション期を上回る。
一方で、2023年に生活の現状および展望を前向きに評価した人の割合は52.1%で、グレート・リセッション下の2008〜2009年(50.2%)と新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年の3〜12月(50.1%)に次ぐ低水準だった。
ちなみに経済が着実な成長を遂げていた2015〜2019年、そして経済がコロナ禍から回復しつつあった2021年には、前向きな評価をしたアメリカ人の割合は55%を超えた。
調査は昨年11月30日から12月7日にかけて、全米の6386人の成人を対象に実施された。
使われたのは「キャントリルの階梯」と呼ばれる手法。現在の生活への評価、そして未来の生活への期待を0〜10までの11段階で答えさせた。
現状にも近い将来にも期待が持てない
ギャラップでは、現在の生活への評価が7以上で、なおかつ今後5年間の生活への期待を8以上と答えた人々を、前向きな評価をしたと分類。一方、現在の生活への評価も今後5年間の生活への期待も4以下と答えた人々を苦悩の人、つまり悲観的評価をしたと分類した。
ギャラップによれば、回答者からは食べ物や安心して過ごせる住宅が足りないとの声が多く聞かれたほか、身体的な苦痛やストレス、不安、悲しみ、怒りを感じている人が多かったという。
また、共和党支持者と無党派層では2021年前半以降、前向きな評価をする人の割合が減少しているという。具体的には共和党支持者では9ポイント、無党派層では2.6ポイント減少した。
だが、民主党支持者の間では前向きな評価をする人の割合は高いままで推移している。23年の平均は55.7%で、共和党支持者(51.7%)や無党派層(48.4%)を上回る。
「前向き評価と悲観的評価の割合は、パンデミックや戦争、不況、政治体制の変化といった経済的、政治的、社会的事象によって、しばしば上がったり下がったりする」と、コロンビア大学のアーロン・パラス教授(社会学)は本誌に語った。
「比較的平穏だったこの1年半ほどに、過去15年間の厳しい時期と比べてアメリカ人がより悲観的になっているのは、懸念すべき状況だ」ともパラスは述べた。
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