最新記事
米社会

不幸なアメリカ人ほぼ過去最悪で4%、ダントツ不幸は無党派層

Americans 'Suffering' at Rate Rarely Reached

2024年1月22日(月)14時01分
ハレダ・ラーマン
アメリカ

今どうして「不幸指数」が上がるのか?学者も首をひねる Wirestock Creators/Shutterstock.

<リーマンショックやコロナのときに比べれば平穏な近年でも現状や将来に不安な人が増えるのはなぜか>

アメリカでは、今の生活や今後の展望に苦しむ人の割合がリーマンショック後、最も高い水準に達している。

世論調査会社ギャラップの調査によれば、2023年10〜12月期に現在の生活や将来への期待について、悲観的な評価をしたアメリカ人の割合は4.3%だった。

2022年4〜6月期以降の6四半期で、悲観的な評価をした人の割合が4%を超えたのはこれで5回目。グレート・リセッション(大不況)が起きた2008年〜2022年初頭までの期間の大半は、4%未満の水準で推移していた。


ギャラップによれば、悲観的評価をした人の割合の2022年と2023年の平均値はいずれも、2000年代末のグレート・リセッション期を上回る。

一方で、2023年に生活の現状および展望を前向きに評価した人の割合は52.1%で、グレート・リセッション下の2008〜2009年(50.2%)と新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年の3〜12月(50.1%)に次ぐ低水準だった。

ちなみに経済が着実な成長を遂げていた2015〜2019年、そして経済がコロナ禍から回復しつつあった2021年には、前向きな評価をしたアメリカ人の割合は55%を超えた。

調査は昨年11月30日から12月7日にかけて、全米の6386人の成人を対象に実施された。

使われたのは「キャントリルの階梯」と呼ばれる手法。現在の生活への評価、そして未来の生活への期待を0〜10までの11段階で答えさせた。

現状にも近い将来にも期待が持てない

ギャラップでは、現在の生活への評価が7以上で、なおかつ今後5年間の生活への期待を8以上と答えた人々を、前向きな評価をしたと分類。一方、現在の生活への評価も今後5年間の生活への期待も4以下と答えた人々を苦悩の人、つまり悲観的評価をしたと分類した。

ギャラップによれば、回答者からは食べ物や安心して過ごせる住宅が足りないとの声が多く聞かれたほか、身体的な苦痛やストレス、不安、悲しみ、怒りを感じている人が多かったという。

また、共和党支持者と無党派層では2021年前半以降、前向きな評価をする人の割合が減少しているという。具体的には共和党支持者では9ポイント、無党派層では2.6ポイント減少した。

だが、民主党支持者の間では前向きな評価をする人の割合は高いままで推移している。23年の平均は55.7%で、共和党支持者(51.7%)や無党派層(48.4%)を上回る。

「前向き評価と悲観的評価の割合は、パンデミックや戦争、不況、政治体制の変化といった経済的、政治的、社会的事象によって、しばしば上がったり下がったりする」と、コロンビア大学のアーロン・パラス教授(社会学)は本誌に語った。

「比較的平穏だったこの1年半ほどに、過去15年間の厳しい時期と比べてアメリカ人がより悲観的になっているのは、懸念すべき状況だ」ともパラスは述べた。

ニューズウィーク日本版 脳寿命を延ばす20の習慣
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月28日号(10月21日発売)は「脳寿命を延ばす20の習慣」特集。高齢者医療専門家・和田秀樹医師が説く、脳の健康を保ち認知症を予防する日々の行動と心がけ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米ISS、コアウィーブによる90億ドル規模の買収計

ワールド

アラスカLNG事業、年内に費用概算完了=米内務長官

ワールド

アングル:高市政権、日銀との「距離感」に変化も 政

ワールド

世界安全保障は戦後最も脆弱、戦わず新秩序に適応をと
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 7
    米軍、B-1B爆撃機4機を日本に展開──中国・ロシア・北…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 9
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 10
    若者は「プーチンの死」を願う?...「白鳥よ踊れ」ロ…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 6
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 7
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 8
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 9
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 10
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中