最新記事
戦車

T90M戦車への自爆攻撃をFPVドローンが3方向から捉えた──戦車の迷走と乗員の脱走まで

Ukraine drone forces crew to abandon Russia's prized T-90 tank: Video

2023年12月28日(木)18時40分
エリー・クック
無惨に破壊されたロシアのT90M主力戦車とウクライナ兵

無惨に破壊されたロシアのT90M主力戦車とウクライナ兵(2022年5月9日、ハルキウ州スターイ・サルティフ)

<ウクライナ軍のFPVドローンがロシア軍の最新型戦車T90Mに突っ込んでいく様子を捉えた>

ロシア軍の主力戦車T90Mが、ウクライナ軍のドローン(無人航空機)攻撃を受けて迷走し、乗員が戦車を置き去りにして逃げる様子を捉えた新たな動画が注目を集めている。

<動画>ドローン攻撃で迷走するT90M、ほうほうの体で次々に逃げ出す乗員

 
 

インターネット上で拡散されているこの動画は、ウクライナ軍の地上部隊が12月26日に投稿したもので、ウクライナ軍のFPVドローンがロシア軍の最新型戦車T90Mに突っ込んでいく様子を捉えたもののようだ。

左右に分かれた画面のうち、左の画面の左上隅にはT90Mに突っ込んでいく攻撃用ドローンのカメラから撮影した映像が出る。左の画面全体には同じ光景を横から映した映像が出る。右の画面は、別のドローンが被弾したT90Mを上空から撮影した映像だ。攻撃したのは、ウクライナ軍第47独立機械化旅団とされている。

第47独立機械化旅団は、欧米から供与された主力戦車「レオパルト2A6」などの兵器を運用する精鋭部隊として知られており、ウクライナ東部ドネツク州の要衝アウディーイウカに投入されている。以前はウクライナ南部ザポリージャ州周辺に配備され、ロシア軍と激しい戦闘を展開してきた。

同旅団のドミトロ・ラズトキン報道官は12月に入って本誌に対し、第47独立機械化旅団がアウディーイウカ北部周辺に配備されたと述べ、ウクライナ軍にはもっと多くのFPVドローンや弾薬が必要だとも主張した。

FPVドローンが活躍

ウクライナ軍は安価な自爆型FPVドローンをきわめて効果的に使用している。ウクライナのドローンの第一人者であるミハイロ・フェドロフ副首相兼デジタル改革担当相は、オペレーターがドローンと同じ視界を共有し、デジタル端末で容易に操作できるFPVドローンはウクライナ国内の戦場において急速に「ゲームチェンジャー」となっており、ロシア軍の数多くの武器を破壊していると述べた。

フェドロフは12月前半に本誌の取材に対し、「FPVドローンは時に迫撃砲よりも有効だ」と述べ、さらにこうつけ加えていた。「使われている技術自体はとても簡単なものだが、FPVドローンはまさに技術革命そのものであり、非常に有能だ」

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

貿易分断で世界成長抑制とインフレ高進の恐れ=シュナ

ビジネス

テスラの中国生産車、3月販売は前年比11.5%減 

ビジネス

訂正(発表者側の申し出)-ユニクロ、3月国内既存店

ワールド

ロシア、石油輸出施設の操業制限 ウクライナの攻撃で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中