<衛星画像>北朝鮮が旧ソ連機をAWACS(早期警戒管制)機に「改造中」の現場を発見
Satellite Photo Points to North Korea's New Russian-Made Radar Plane
ドイツのガイレンキルヒェン航空基地を飛び立ったNATO軍のAWACS機(2014) REUTERS/Francois Lenoir
<もし成功すれば、北朝鮮の偵察範囲は拡大し、防空能力も進化する>
北朝鮮の金正恩政権が、ロシア製の軍用輸送機を改造し、強力なレーダーを備えた「空飛ぶ司令塔」へと変貌させようとしていることが、最新の衛星画像で明らかになった。実現すれば、ミサイル実験能力と偵察能力が増強されるだろう。
改造中とみられるのは、ソ連時代に設計された輸送機「Il-76(イリューシン76)」だ。発見したのは、オープンソースインテリジェンスのアナリストで、11月30日に平壌国際空港に駐機されている同機を発見した。
北朝鮮の狙いがわれわれの推測通りであれば、北朝鮮の軍事力は著しく進歩することになり、偵察範囲は拡大する。
ジェームズ・マーティン不拡散研究所の研究員デッカー・エベリスによると、問題のIl-76は、平壌国際空港の整備格納庫横に駐機されていた。衛星画像データ提供会社プラネットによる衛星画像を分析したエベリスは、Il-76の胴体上部に、巨大な構造物が新たに追加されていることを発見した。
エベリスの説明によると、追加された構造物は、回転式のレーダードーム、通称ロートドーム用のマウントである可能性がある。一般的には、早期警戒管制機(AWACS機)に搭載される空中警戒管制システムの一部として建造されるものだ。
9月下旬に始まったか
早期警戒管制機は、米空軍がボーイング製の「E-3セントリー」を運用しており、空中の敵機を探知したり、ミサイルなどの発射体を追跡したりする。
アメリカの北朝鮮専門ニュース/分析サイト「NKプロ」は、こうした改造作業が11月に行われていたことを確認した。「この作業は、9月下旬に始まった可能性がある。ちょうどその頃、同機の駐機場所周辺に防壁が立てられ始めたからだ」と、NKプロのサイトには書かれている。
大型輸送機のIl-76は、1970年代にソ連空軍に導入されて以降、中国を含む世界各国の政府に広く採用されてきた。北朝鮮には国営高麗航空にIl-76を3機を供給したが、早期警戒管制機に改造されているのは1機のみのようだ。
「ほかの2機はここ数カ月、改造中の輸送機が駐機されている場所の隣にある整備格納庫に置かれるようになった。しかし12月13日現在は、どちらも屋外に駐機している」と、NKプロは報じている。
もし北朝鮮軍にAWACS機が導入されれば、同軍の防空網は大幅に強化される可能性がある。同軍の防空網はいまのところ、古いタイプの移動できないレーダー基地に依存していると、エベリスは述べる。
北朝鮮が11月22日、偵察衛星(万里鏡1号)の打ち上げに初めて成功してから、朝鮮半島ではちょうど緊張が高まっている。
韓国の情報機関は、北朝鮮の偵察衛星打ち上げについて、ロシアの支援を受けている可能性がある、と述べた。
(翻訳:ガリレオ)