最新記事
軍事

たしかに見えない...ウクライナ、兵士を敵の目から隠す「透明マント」開発 特殊作戦に効果発揮か

Ukraine Army's 'Invisibility Cloak' Ready for Mass Production: Developers

2023年10月7日(土)14時10分
デービッド・ブレナン

とはいえ、ウクライナ兵士による実戦での使用は限定的なものになるかもしれない。「マントのマスキング特性は、マントを着用した人が非常にゆっくり動く限り、永続的に維持される。例えば、起伏が多い場所を素早く移動するときなどと違い、体から余分な熱が放出されないためだ」とボリアックは説明する。

「このマントは、ゆっくり体勢を整えることを前提に使用するもので、急激な動きには適していない。体から余分な熱が放出され、マントの通気口からわずかに熱が漏れ出すためだ」。ただし、着用者が周囲の植物に紛れていれば、危険な熱の漏れは多少隠すことができる、とボリアックは補足した。

戦争が急速なイノベーションを促している

ロシアによる本格的な侵攻は、技術と戦術の急速なイノベーションを促している。また、西側の先進的な軍装備品が徐々に導入されていることで、さらにイノベーションに拍車が掛かっている。今回の新しい熱対策技術はウクライナ軍に、夜間の戦場における優位性をもたらす可能性がある。現在、さまざまな種類のドローンがほぼ常時監視活動をおこなっており、高度なカメラを搭載するものもある。

「『善』と『悪』は常に隣り合わせだ。新しいタイプの兵器と、それを打ち負かし、無力化しようとする手段の戦いもそうだ」とボリアックは話す。「だからこそわれわれは、何かを達成したとしても、そこで立ち止まることはない」

ボリアックによれば、現在の計画は「製品を改良し、開けた場所での素早い動きに対応させること」だという。「ほかの科学者たちと協力し、その方向で研究を進めている。年末までには、カムフラージュ効果を高めた新型マントの本格的なテストを実施する予定だ」

「新型マントのマスキング特性をさらに拡大するには、この製品に使用される新素材のテストが終わるまで、少し待つ必要がある」
(翻訳:ガリレオ)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口の中」を公開した女性、命を救ったものとは?
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 5
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 8
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中