【アニメで解説】「近海は全てわが物」とゴリ押す中国、ICBM戦力拡大の北朝鮮...日本がとるべき対応は?
Newsweek Japan
<東シナ海と南シナ海でゴリ押す中国と、兵器の開発が着々と進む北朝鮮──緊張の高まる東アジア情勢について解説したアニメーション動画の内容を一部紹介>
中国は東シナ海と南シナ海で根拠なき「歴史的権利」を主張し、北朝鮮ではますます核兵器の開発が進んでいる。それぞれの脅威に対して日本が取るべき対応とは──。
本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「「近海は全てわが物」とゴリ押す中国、ICBM戦力拡大の北朝鮮...緊張高まる東アジア、日本がとるべき対応は?【アニメで解説】」の内容をダイジェスト的に紹介する。
横暴な「マイルール」を振りかざす中国
中国はルールに基づく秩序を脅かし、自分たちが「近海」と呼ぶ海域を国際的な海事法の管轄外にしようとしている。
領有権紛争の焦点は、東シナ海では尖閣諸島、南シナ海ではパラセル(西沙)諸島とスプラトリー(南沙)諸島、およびスカボロー礁(黄岩島)と東沙諸島だ。
海域紛争では、日本が両国の中間線に基づいてはるかに公平な境界線を求めているのに対し、中国は東シナ海で琉球海溝まで続く大陸棚の権利を主張している。
南シナ海においてはさらに横暴で、全域に「歴史的権利」を持つという独自の違法な主張をしている。その範囲を定めているとするのが「九段線」だ。9本の領海線で囲む全ての海域、海底、空域の管轄権を主張するものとして悪名高い。
2016年にフィリピンが中国も批准する国連海洋法条約(UNCLOS)に基づいて国際仲裁裁判所に提訴したところ、南シナ海での中国の領有権の主張を認めないとの判断が示された。
中国は軍事的脅威とそれより弱い威圧を組み合わせ、領有権を主張する全ての海域と空域を支配しようとしている。海警局(沿岸警備隊)とその民兵組織がこの「グレーゾーン威圧」を担う。
アメリカや日本など関係諸国は、短期的には自国の能力を強化して抑止力を高めつつ、係争海域へのアクセスを維持するために協力しなければならない。
東南アジアのパートナー諸国、特に実力が不足するフィリピンに空海軍と沿岸警備隊の能力を強化する支援を続けるべきだ。そしてアメリカは米軍の南シナ海への定期的アクセス維持のため、フィリピンでの限定的軍事プレゼンスを強める活動を加速しなければならない。この任務にはグアムと日本では遠すぎる。
長期的な連合を構築して中国を非難し、外交的・経済的コストを課して、妥協点を探る時間を稼ぐのだ。
ICBM戦力拡大の北朝鮮、高まる核戦争リスク
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は、核戦力開発とその現代化をさらに推し進める決意を明らかにした。
2021年1月に策定された国防発展5カ年計画では、より高性能な新型ミサイルや戦略核兵器、偵察衛星の開発を掲げている。これらの目標は、ミサイル技術者や核物理学者の創意工夫によっておおむね成功している。新型コロナ対策で国境を封鎖したものの、核・ミサイル開発を含めた国防計画に支障は出ていない。
今や北朝鮮は装備十分の核兵器保有国だが、アメリカと同盟国は不拡散政策を追求し続け、北朝鮮の核非武装を目標に掲げている。
不拡散政策は、1991年末に韓国と北朝鮮が合意した「南北非核化共同宣言」の枠組みを維持しているが、北朝鮮の核開発成功に伴う核エスカレーションや核戦争懸念という現実のリスクに対処する上では、ほとんど効果がない。
問題はもはや「不拡散」ではなく「抑止」なのだ。
アメリカと同盟国は各種のリスク削減手法の評価に取りかかり、軍縮路線を探らなければならない。
こうしたアプローチには、北朝鮮の核兵器保有を承認することになるという反発があるが、より重視すべきなのは核戦争のリスクだ。
北朝鮮をめぐってアメリカと同盟国は戦略的安定を追求すべきだが、北朝鮮の非核化を完全に諦める必要はない。核軍縮交渉の実施を義務付ける核拡散防止条約(NPT)第6条に対して締約国のアメリカなどが取っている姿勢と同様、長期目標として捉えればいい。
有事の際、北朝鮮指導部や核兵器に関する指揮系統を標的にするとの意思を公然と示すことを日本は避けるべきだ。
際限ないエスカレーションの動機を北朝鮮に与えてはならない。日本はアメリカと共に、ミサイル攻撃で想定される被害を食い止めつつ、目標を実現する方法を探るべきだ。
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