ワグネル・プリゴジンの乱で急浮上「ロシアの核兵器管理は大丈夫なのか?」
それでもロシアの核兵器の安全性は、常に米政府にとって「心配の種」だ。各情報機関は今年の「年次脅威評価報告」で「1990年代以降、ロシアの核施設における装備の保護や管理、対外説明状況は改善しているものの、依然として核物質の安全保障は懸念要素の1つだ」と結論づけた。
ならず者に奪われる危険
現在、米国の政策担当者が心配を募らせているのは、ワグネルの反乱で露呈した対ウクライナ戦争を巡るロシアの内部分裂が再燃すれば、一部の核兵器使用の決定権をロシア軍内部の「ならず者たち」によって掌握されてしまうシナリオだ。
ホフマン氏によると、米国とその同盟国は、このように新たな権限を得た勢力が核兵器をどう使うかのか、という疑念に直面している
ホフマン氏は、プーチン氏がウクライナに軍事支援をしている西側に核の脅しを行使しつつも、今のところそれに基づく行動はしていないと指摘する。
その一方で「これは西側に欲しいものを何でも強要できる力であり、新権力者が登場した場合、プーチン氏が持つルールに従うとは限らないのではないか」との見方を示した。
ロシアの核弾頭保有数は世界最大で、米国科学者連盟の推定では昨年時点で5977個に上る。米国は推定5428個だ。
このため複数の元CIA高官の話では、ロシアの戦略核戦力の指揮系統や安全保障などにかかわる情報収集は長い間、米国のスパイ活動における最優先事項だった。
もっとも昨年8月、ロシアが新戦略兵器削減条約(新START)に基づく相互査察活動停止を米国に通告したことで、こうした情報収集はより難しくなった。
ポリメロプロス氏は、米国側は偵察衛星を頼みにしてロシアの核兵器施設の安全性や核弾頭の動きを調べ、通信傍受によってロシアの各指揮官の忠誠心を監視していると述べた。
(Jonathan Landay記者)
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