ロシア軍、次は化学工場爆破でチェルノブイリを上回る大惨事を狙う?
Russia Plotting 'Worse Than Chernobyl' Disaster at Chemical Plant: Official
カホフカ・ダムの決壊で起きた大洪水ではいくつもの村が水没した(6月10日、ウクライナのヘルソン州) Inna Varenytsia-REUTERS
<ダムの次は化学工場──攻勢に転じたウクライナ軍を止めるために民間インフラを破壊して武器にするロシア>
ウクライナの複数のメディアが報じたところによると、ロシア軍はクリミア半島にある化学工場に爆発物を仕掛けたか仕掛けるつもりのようだ。工場のすぐそばには、有毒物質を含む貯水池があるという。
ヘルソン州のオレクサンドル・プロクディン知事は、これが爆発したら1986年のチェルノブイリ原発事故を上回る大惨事になると警告した。ウクライナの英字紙キーウ・ポストが6月9日に伝えた。
昨年2月に侵攻を始めて以降、ロシアはウクライナの民間インフラを何度も狙ってきた。ウクライナ南部ヘルソン州にあるソ連時代に作られたカホウカ水力発電所のダムが6日に決壊したのも、ロシアの仕業だとみられている。大規模な洪水で、多くの住民が避難を余儀なくされただけでなく、環境破壊や飲料水不足も懸念されている。
キーウ・ポストによれば、ウクライナの軍事アナリスト、ロマン・スイタンは8日、テレビ番組に出演し、問題の化学工場について語った。この工場はクリミア・チタンといい、ロシア占領下のアルミアンスクにある。スイタンによれば、ウクライナの攻撃を恐れたロシア側が、爆発物を工場に仕掛ける可能性があるという。
洪水の次は化学汚染か
「酸や塩素、試薬の入った容器を含め、工場には有毒な『地雷』詰まっている」とスイタンは述べたという。
「ロシアは最近、爆発物の設置も始めた。なぜならウクライナ軍がドニプロ川を渡ってアルミアンスクを攻撃する恐れがあるからだ。爆破はロシアにとって軍事的に好都合だ。化学物質が放出されればウクライナ軍の進軍を遅らせることができる」
ニュースサイト『ニュー・ボイス・オブ・ウクライナ』によれば、プロクディンは2日にも、クリミア・チタンについてテレグラムに投稿している。同工場で爆発が起きれば「何千トンもの有毒物質が大気中に放出され」、「チェルノブイリより深刻な」状況になるとプロクディンは警告した。
「(ロシアが併合した)クリミアをはじめ、ウクライナの他の7州が被害を受けるだろう。影響はトルコやロシア自身にまでも及ぶかもしれない」とプロクディンは述べたという。