最新記事
ウクライナ情勢

ロシア軍、次は化学工場爆破でチェルノブイリを上回る大惨事を狙う?

Russia Plotting 'Worse Than Chernobyl' Disaster at Chemical Plant: Official

2023年6月12日(月)18時10分
ジョン・ジャクソン

カホフカ・ダムの決壊で起きた大洪水ではいくつもの村が水没した(6月10日、ウクライナのヘルソン州) Inna Varenytsia-REUTERS

<ダムの次は化学工場──攻勢に転じたウクライナ軍を止めるために民間インフラを破壊して武器にするロシア>

ウクライナの複数のメディアが報じたところによると、ロシア軍はクリミア半島にある化学工場に爆発物を仕掛けたか仕掛けるつもりのようだ。工場のすぐそばには、有毒物質を含む貯水池があるという。

ヘルソン州のオレクサンドル・プロクディン知事は、これが爆発したら1986年のチェルノブイリ原発事故を上回る大惨事になると警告した。ウクライナの英字紙キーウ・ポストが6月9日に伝えた。

昨年2月に侵攻を始めて以降、ロシアはウクライナの民間インフラを何度も狙ってきた。ウクライナ南部ヘルソン州にあるソ連時代に作られたカホウカ水力発電所のダムが6日に決壊したのも、ロシアの仕業だとみられている。大規模な洪水で、多くの住民が避難を余儀なくされただけでなく、環境破壊や飲料水不足も懸念されている。

キーウ・ポストによれば、ウクライナの軍事アナリスト、ロマン・スイタンは8日、テレビ番組に出演し、問題の化学工場について語った。この工場はクリミア・チタンといい、ロシア占領下のアルミアンスクにある。スイタンによれば、ウクライナの攻撃を恐れたロシア側が、爆発物を工場に仕掛ける可能性があるという。

洪水の次は化学汚染か

「酸や塩素、試薬の入った容器を含め、工場には有毒な『地雷』詰まっている」とスイタンは述べたという。

「ロシアは最近、爆発物の設置も始めた。なぜならウクライナ軍がドニプロ川を渡ってアルミアンスクを攻撃する恐れがあるからだ。爆破はロシアにとって軍事的に好都合だ。化学物質が放出されればウクライナ軍の進軍を遅らせることができる」

ニュースサイト『ニュー・ボイス・オブ・ウクライナ』によれば、プロクディンは2日にも、クリミア・チタンについてテレグラムに投稿している。同工場で爆発が起きれば「何千トンもの有毒物質が大気中に放出され」、「チェルノブイリより深刻な」状況になるとプロクディンは警告した。

「(ロシアが併合した)クリミアをはじめ、ウクライナの他の7州が被害を受けるだろう。影響はトルコやロシア自身にまでも及ぶかもしれない」とプロクディンは述べたという。

地方自治体
人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に安心な水にアクセスできる社会の実現へ
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

石油は米から買うかホルムズ海峡へ取りに行け、トラン

ワールド

ブチャ虐殺から4年、EU外相ら現地訪問 支援再確認

ワールド

中国、EU議員団の8年ぶり訪中を歓迎 関係安定化に

ワールド

イスラエル、レバノン南部に緩衝地帯設置へ 国防相表
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 5
    アリサ・リュウの自由、アイリーン・グーの重圧
  • 6
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 7
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 8
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 9
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 10
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカ…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 6
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中